「妻は夫の付属品じゃない」良好な夫婦関係は産前産後で9割決まる?

恋愛・結婚

2018/8/16

『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(水谷さるころ/新潮社)

「結婚には、決まった正解なんてない」―そんな当たり前だけれど見逃してしまいがちな事実に気づかせてくれるのが、事実婚をしたフリーランス夫婦の暮らしが描かれている『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(水谷さるころ/新潮社)だ。

 近年は、女性の社会進出が進み、男女が対等な立場で夫婦関係を育めるようになりつつある。しかし、結婚という枠組みにとらわれ、言いようのない不自由さを抱えている夫婦はまだまだ多い。

私は夫の付属品ではない。結婚してなかったときみたいに、私は私だと扱ってほしい

 本書内で著者の水谷さるころ氏が記したこの言葉は、共働きをしている既婚女性の心に深く刺さる。

 水谷氏は一般的に抱かれやすい“理想の奥さん像”をこなすことに疲れ果て、過去に離婚を経験している。だからこそ、男や女という壁を取り払い、対等な夫婦関係を築くため、2度目の結婚では事実婚という形を選んだ。法律で繋がっている結婚生活は、補助制度もしっかりと受けられるという点ではメリットがある。しかし、その一方で、法律という目に見えない束縛があるからこそ、フェアな夫婦関係を築くための努力を怠ってしまうこともあるのではないだろうか。

 日本では「夫と家賃を折半している」や「夫が専業主夫だ」と言うと、「それは幸せなの?」と返されることも少なくないが、本来、結婚はお互いが相手の支えになりたいから行うものだ。彼氏や彼女が結婚によって、より身近な存在に変わると感謝の気持ちや労わりの心を忘れてしまうことも多くなる。しかし、多様な生き方が認められつつある現代だからこそ、ジェンダーレスな考えで、パートナーのことをひとりの人間として尊重していくことが大切なのではないだろうか。

■事実婚のデメリットは必要か

 本書の醍醐味は、事実婚のデメリットを詳しく学べるところにもある。水谷氏によれば、事実婚では遺言書が残されていないと配偶者に相続権がなく、配偶者が死亡したときも手続きがしにくいのだそう。さらに、体外受精や顕微授精などといった高額で保険適用外の不妊治療費の助成金も、法律婚夫婦のみを対象にしている場合が多いのだという。

 しかし、こうしたデメリットは本当に必要なのか、疑問に思う。法律婚と事実婚は受けられる制度に差をつけなければならないほど、異なった結婚の形なのだろうか。

「男は仕事をし、女は家庭を守る」という考え方は、現代の日本では薄れつつある。共働きが当たり前になってきており、水谷氏のように自立した夫婦関係を育みたいと思う既婚女性も今後増えてくるだろう。また、フリーランスという働き方への注目が高まってきている近年は、セルフブランディングの観点から夫婦別姓を選ぶケースも多くなってくると思う。だからこそ、結婚も自分たちが一番幸せに生きられる形を選べばよい。結婚生活でなによりも優先しなければならないのは世間一般の価値観ではなく、自分自身の価値観なのだ。

「育児中の妻は家を空けてはいけない」や「夫は妻よりも給料が高くないといけない」といった固定観念はパートナーの心を殺し、自由を奪う原因となってしまうこともある。結婚はあくまでも、自分らしく自立しながら共に生きていくための手段。―そう思える人が多くなっていけば、男女ともに“帰りたくなる居場所”が得られ、今以上の幸せを噛みしめられるようにもなるのではないだろうか。

文=古川諭香