不謹慎狩りがなくならないワケ。あの人はなぜモヤモヤさせるのか

社会

2018/9/22

モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ
『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(宮崎智之/幻冬舎)

 ネットでしばしば巻き起こる“不謹慎狩り”。たとえば、災害や不幸なニュースがあったとき、政治家や芸能人などの著名人が豪華なパーティの様子をSNSにアップすると、「今まさに苦しんでいる人がいるのに! 楽しそうな姿をアピールするなんて!」と“お叱り”のコメントが付いてしまう。もちろん、本当にシャレにならない発言で炎上している人もいるのだが、ささいな言動に対しても鬼の首を取ったように「不謹慎だ!」と判定をする人たちがいて、彼らは彼らでまた“不謹慎厨”だと叩かれていたりする。ここ数年ずっと変わらないこの流れを見ていると、叩く側もそろそろ飽きないのかとも思うし、叩かれる側もどうしてむやみに“叩かれる隙”を与えてしまうのか…といつも「モヤモヤ」を感じている。この記事を読んでいる人の中にも、同じように「モヤモヤ」を感じている人が多いのではないだろうか。本稿で紹介する『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(宮崎智之/幻冬舎)は、こうした身近にある「モヤモヤ」現象の原因をうまく言語化し、私たちにわかりやすく解説してくれる本である。

■迷惑な「不謹慎狩り」をタイプ別にすると――

 著者によれば、不謹慎狩りをする人たちは、いくつかのタイプに分類できる。まず、いちばんタチがわるいのが、人の揚げ足取りをして悦に浸ろうとしている人。彼らは、災害に便乗して日ごろの鬱憤を晴らしたいだけであり、まさに“不謹慎厨”と呼ぶべき存在である。こうした人たちは「論外」だが、被災者のことを思うがために不謹慎狩りに走ってしまう人たちもいるのだとか。例えば、自分を被災者の「代弁者」だと思い込んでいるタイプ。“被災者のために”という名目で不謹慎な言動を批判しているが、著者に言わせればそれはただの「思い上がり」。こういう人たちは、結局のところ“自分自身が”その言動を許せないから批判している、ということを自覚すべきだという。他にも、「正義感」ゆえに他人の言動を取り締まろうとする人もいるようだ。だが、それもまた、自分の正義を他人に強要することになっていないか考えなくてはならないだろう。

 著者は、本書の中で「不謹慎狩りを行うことは、支援と対極にある行動」だとバッサリ斬る。たしかに、いくらネット上で有名人の言動を批判したところで、被災者たちにとっては何の救いにもならない。本当に大切なのは、被災者の力になりたいと思う人たちが、自分のできる範囲で支援をすることだ。現地に行ってボランティアとまではいかなくとも、ネットを活用して少額の寄付をするだけでも十分なはずだ。だが、そんな当たり前の事実に気付かずに、安全地帯から有名人のSNSに批判コメントを書いている人たちがやはりいるようだ。

■「意識高い系はなぜウザい?」…身近にもたくさん潜んでいるモヤモヤ問題

 本書では、こうした“不謹慎狩り”問題だけでなく、以下のようなもっと身近でよく遭遇する「モヤモヤ」現象についてもたくさん取り上げている。

【本書で取り上げる主なトピック】
パートⅠ アリか? なしか? モヤモヤする新常識
・大雪でも定時に出社する人は社畜なのか?
・「タバコ休憩」は、非喫煙者にとって不公平なのか?
・休日の仕事メールにも返信すべきか?
・焼き鳥の串外しは無粋な行為か?
・男は女におごらなくてはいけないのか?

パートⅡ あの人は、なぜあなたをモヤモヤさせるのか
・彼氏じゃないのに“彼氏面”する男たち
・「結婚式でフラッシュモブ」をしたがるサプライズ好きの人たち
・男たちを翻弄し組織を壊すサークルクラッシャーな女たち
・周囲からウザがられる「意識高い系」の人たち
・あなたはハロウィンで仮装できる人ですか?

 この中には、あなたも「実は気になっていた!」という項目があるのではないだろうか。本書は、こうした「あるある」の身近な問題を、著者のフラットな視点を通じてズバズバと語ってくれるから気持ちがいい。もし、あなたがこうした「モヤモヤ」を抱えているのなら、本書でそれをスッキリ解消してみてはどうだろう。

文=中川 凌