35歳で胸のしこりに気づいて…「乳がんステージ4」の私が、合コンに行きまくったワケ

マンガ

更新日:2018/10/15

『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行くまくって救われた話』(白戸ミフル/キノブックス)

 肉体も精神も蝕む病の話は、ある種の「重さ」がつきまといがちだ。それは、人間が生きていくうえで「病気」ひいては「死」というのは避けがたいもので、どんな人でも向き合う可能性があるからだろう。そんな「重さ」を笑いに変えてくれるのが、『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行くまくって救われた話』(キノブックス)だ。本書は、乳がんという病気と、心の移り変わりについて教えてくれる。

 著書である白戸ミフル氏は、IT企業で忙しく働きながら、週に3回以上の合コン、年に数回の海外旅行や週末にはゴルフやクラブなど、東京で独身生活を謳歌する35歳(発症当時)だ。合コン歴は20年以上、通算回数2500回以上という“合コンのプロ”でもあり、いわゆる「パリピ」だ。そんな彼女が、35歳で胸のしこりに気づき、ステージ4の乳がんだと判明したことで、これまでの恋愛や自分のことを見つめ直す姿が描かれている。

 著者が罹患した「乳がんステージ4」は、がんのステージのなかでも一番重いものだが、サプリや体を温める代替療法を試したり、合コンに行って息抜きしたりと、抗がん剤治療で体調は悪いはずなのに、治療中でも明るく楽しく生きようとする。限られた時間というものを意識しているからこそ、前向きになれるということもあるだろうが、自分の人生を生き抜こうとする彼女のたくましさには感服してしまう。

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“合コンのプロ”である著者は、乳がん患者でありながらも、合コンで多くの男性と出会い続け、自分にぴったりな人を見極めようと試行錯誤し続ける。そんな彼女のパートナー選びは真剣そのものだ。抗がん剤治療中で髪がないので、ウィッグが脱げてしまったり、タイプの人と出会ってもウィッグなので深い関係になりにくかったり、闘病中ならではのエピソードは興味深い。

 乳がんになって、いろいろな男性と出会うなかで、本当にやりたいこととは何かと突き詰めていく著者。そんななかで、「子どもの頃から夢だった漫画が描きたい」と、内なる自分の声に耳を傾け、この本を出版するまでに至る。

「つらいことを楽しめたら人生の勝者」なんじゃないかなって。だって1度きりの人生思いっきり楽しんだ人が勝ちですよね?

 と、どこまでもポジティブだ。

 合コン三昧の日々から夢を叶えるまでの過程で、病と闘いながら真摯に自分と向き合う著者の姿には、「生きるエネルギー」が満ち溢れている。

文=ナガソクミコ