世界一眠れていない日本人。毎日あと30分でも長く寝る方法

暮らし

2018/10/16

『かつてないほど頭が冴える! 睡眠と覚醒 最強の習慣』(三島和夫/青春出版社)

 とにかく忙しい現代日本人。「しっかりと眠れていますか?」という質問に対して、「イエス」と即答できる人は一体どのくらい存在するのだろうか。

 多忙で慢性的な寝不足の人。夜型で朝に弱く、いつも苦しみながら通勤する人。夜中に何度も目覚めてしまい、疲れがとれない人。どれも健全な睡眠習慣とは言い難い。

 かく言う筆者も超夜型の人間であり、「睡眠」という2文字を見ただけで嫌悪感に襲われるほどには睡眠の悩みを抱えている。さまざまなメソッド、果てには睡眠薬とカフェイン剤による強制的な調整も試したのだが根本的な解決には繋がらず…。

 そんな私が藁にも縋る思いで手を伸ばした、『かつてないほど頭が冴える! 睡眠と覚醒 最強の習慣』(三島和夫/青春出版社)という書籍がためになったので、本稿でご紹介したい。

■世界一眠れていない日本人

 日本人の平均睡眠時間は7時間22分。これはOECD加盟国の中で最も低い値で、世界平均と比べると、ちょうど1時間ほど短い。そして、日本人の睡眠時間は高度経済成長期に1時間減少したという事実が本書では明かされている。

 本来その人にとって必要な睡眠時間が1時間削られている。そしてその「たったの1時間」が実は危険だと本書は指摘する。徹夜明けの疲労感は強烈だが、少しの睡眠不足ならばそれほどには疲労も感じない。しかし体には、しっかりと疲労が蓄積されている。

 ちょっとの睡眠不足も、1週間、10日と続けば危険だ。認知機能が睡眠不足の蓄積に応じてどんどん低下し、ヒューマンエラーの大きな原因となるのだ。

■最善の解決法は「必要時間寝ること」

「睡眠不足が良くないのはわかった。でも忙しいし、5時間くらいでギュッと効率よく眠る方法はないの?」——残念ながら、本書によると、そんなものはない。解決策は、「必要なだけ寝ろ」。これに尽きるようだ。

 可哀想なほど眠らせてもらえない日本人。いまだに「寝ずに頑張った」が美化される、極めて非合理な社会に生きている。本書はそんな労働者に向けて、「まずは30分、毎日の睡眠時間を増やす(捻出する)こと」を推奨している。

 帰宅後にスマホやテレビに使っている時間を頑張って削れば、30分くらいは捻出できるのではないだろうか。SNSで他人の近況報告を無感情で眺めるのと、健康な睡眠、どちらが大切なのか自問してみて欲しい。

 また、夜間のブルーライトの弊害も本書では説かれている。深夜のスマホは避けたいところだ。

■「超夜型体質」の人がしんどいのは、社会が悪い

 文科省が推進する「早寝早起き朝ご飯」が全ての人の健康増進に繋がるのかというと、実はそうでもないようだ。

日本では、日常生活に支障をきたすほどの「超夜型」タイプの成人が1割ほど存在します。朝起きるのに苦労する「夜型」を含めると3割にもなります。(本書166頁)

「子どものころから起きられなくて、お母さんを困らせていた(いる)」「遅刻の常習犯だった(だ)」「深夜3時以降のほうが寝やすい」…そんな人は超夜型タイプの可能性が高いのだとか。ちなみに、筆者は完全に該当する。

 本書によると、「超夜型」も体質なので、その人が悪いというわけではないという。むしろ、「夜型はよろしくない」という偏見から、登校時間や出社時間などがマジョリティ優勢で決められ、夜型の人が適応しづらい社会になってしまっているそうだ。

 そんな朝方社会に生きる夜型・超夜型の人々は、社会に合わせるだけで睡眠負債や心身の疲労が蓄積してしまう。つまり、「体内時計の多様性」を認め、社会の方が変わる必要があるのだと本書は説いている。

 体質的・生来的な体内時計を変えることは不可能だというが、それでも睡眠の時間を確保したり、せめて睡眠のリズムだけは乱れないように気を配ることは可能だ。上に紹介したもの以外にも、本書には睡眠に関する最新の知識と、私たちが実践できる取り組みが多数紹介されている。睡眠に悩む多くの人に読んでもらいたい1冊だ。

文=K(稲)