自分の会社はどのくらい儲かっている? 仕事がデキる人は知っている“簿記ネタ”

ビジネス

公開日:2020/3/25

『みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第8版』(滝澤ななみ/TAC出版)

 あなたは、自分の会社の財務諸表が読めるだろうか。仕事で経理をしていたり、大学で会計の勉強をしていなければ、なかなか腰を据えて学ぶ機会はない。会社の決算発表は、基本的に株主に投資してもらうためのものだから、どうすれば良く見せられるかが考え抜かれている。数字の意味を考えず、なんとなく聞いていても、会社の本当の姿は見えてこないだろう。転職や投資の候補先についても同じだ。財務諸表の読み方を知らなければ、深く会社のことを理解できない。

 そこで「簿記」の勉強を選択肢のひとつとして紹介したい。簿記とは、「帳簿」に「記入」するという名の通り、会社の財務諸表を作るためのもの。「損益計算書」や「貸借対照表」といった用語を、どこかで聞いたことがないだろうか。貸借対照表は、会社の所有している資産や借金についてまとめたものだ。すなわち、これを見れば会社の財政状況がわかる。「損益計算書」は、会社がいくら儲けたのか(あるいはいくら損したのか)を示している。私たちが経済ニュースでよく耳にする「○○年度の営業利益は△△億円」といった情報は、この損益計算書に基づく会社の経営成績だ。

■簿記の勉強は、ビジネスのさまざまなシーンで役に立つ!

 簿記の知識が生きるのは、財務諸表を読むときだけではない。たとえば、いずれ管理職になれば、自分の部署の業績を分析する必要がある。自分の部署でどれだけのお金を使い、その結果どれだけお金を儲けたのか。簿記の知識があれば、今後の戦略を考える助けになるだろう。また、単純に数字に強くなるというメリットもある。社内・社外に関わらず、ビジネスにおいて数字の持つ説得力は大きい。資料で夢を語るだけではなく、主張を裏付ける数的根拠をさらりと示せるようになりたい。

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■「売上金」と「売掛金」の違いは説明できる?

 簿記では「売掛金」という言葉をよく使う。「売上金」とは違うのだが、違いを説明できるだろうか。私たちがお金を払ってお店でモノを買うのとは違い、会社の取引は「掛け」が基本だ。ライターの原稿料もそうだが、取引のたびに金銭のやりとりをするのではなく、ひと月にまとめて行う。つまり、実際に商品を売り上げたとしても、すぐにお金が入ってくるわけではない。とはいえ、売り上げているのは確かなので、簿記ではこれを「売掛金」として処理する。そして「売掛金」は、「資産」として計算されるのだ。部署の業績を分析する際、こうした知識は必須だろう。

■まずは受験しやすい「3級」から!

『スッキリわかる 日商簿記3級 第11版 [テキスト&問題集]』(滝澤ななみ/TAC出版)

「簿記を勉強してみよう!」と思い立ったら、まずは「3級」から勉強を始めよう。教室講座に通う時間がなければ、テキストを使って独学で勉強することも可能だ。そこでご紹介するのは、『みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第8版』と『スッキリわかる 日商簿記3級 第11版 [テキスト&問題集]』(ともに、滝澤ななみ/TAC出版)。前者は、初学者におすすめの教科書。会話形式で「簿記ってそもそも何?」というところから始まり、豊富な具体例や図解で解説してくれる。後者も初学者向けだが、どちらかというと「問題集」寄りのテキストだ。解説と問題が対応しており、学んだことをすぐに実践で確かめられる。

 簿記の知識が身に着けば、いろいろな場面で役に立つだろう。これまでなんとなく見ていた経済系のニュースも、ぐっと理解度が増し、新たな気づきを得られるはずだ。ぜひ、挑戦してみてほしい。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7