3歳までが腸内フローラを決める「育菌」のゴールデンエイジだった!コロナ禍で免疫力を高める幼児の食事

出産・子育て

公開日:2021/3/8

成功する子は食べ物が9割 幼児食
『成功する子は食べ物が9割 幼児食』(細川モモ:監修/主婦の友社)

 コロナ禍の“巣ごもり生活”で、1日3食を作るのにヘトヘト。いつも食事がワンパターン。子どもは好き嫌いが多いし……、しかたないよね。そう思っていたが、「ま、いっか」で幼児期を過ごしてしまうのはマズイかも? と気づかせてくれたのが、『成功する子は食べ物が9割 幼児食』である。感染症が心配な今、子どもの免疫力を高めるには食事からとる栄養素が欠かせないという。

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良い菌は生涯にわたって味方になってくれる

 監修者の細川モモ氏は、自身も0歳と4歳の子どもたちを育てながら、「今しかない子どもの成長を食事で支えよう」と、大学との共同研究などを行っている。インスタグラムで公開する食卓写真や、多彩な切り口の栄養情報は、子育て世代としては共感することばかりだ。本書では、そんな彼女が幼児期の栄養について、これでもか! と熱く語っている。

 たとえば、「育菌」の重要性。「菌を育てる」というと、この抗菌時代なのに、少し違和感を覚えてしまう。でも、菌=悪者とは限らない。彼女が語る「育菌」とは、生涯の健康のために、体にとって良い菌を育てることである。

 私たちは腸の中に、「腸内細菌」という細菌を住まわせている。腸内細菌の中には、体に悪い影響を与える菌もいるが、感染症やアレルギーを予防したり、肥満を抑制してくれるなど、生涯にわたって味方になってくれる良い菌もたくさんいる。

 そして、それらの良い菌=善玉菌が腸内に定着しやすい時期は3歳までといわれる。残念ながら、大人になってからでは定着しにくいため、3歳までが腸内フローラ(多種多様な腸内細菌の集まり)を決める“育菌のゴールデンエイジ”なのである。

成功する子は食べ物が9割 幼児食 p.64

幼児期には“腸村”にステキな住人(腸内細菌)をせっせとふやす!

 では、「3歳までにできるだけ良い菌を住まわせたい!」と思ったら、どうすればよいのか? 1つ目のポイントは、さまざまな人や動物、物とのふれ合いを通して、多様な菌にふれること。

 大人は、感染症にかからないほうがいい、外遊びで汚れないほうがいい、とつい思ってしまう。でも、「きょうだいの数が多く、末っ子であるほど、感染症に多くかかり、多様な菌にふれて育つため、大人になったときのアレルギー発症率は低い」という研究があるそうだ。

 細川モモ氏は、幼児期の菌獲得に意欲的! 子どもとお散歩中の土いじりでは土壌菌と仲よくさせ、動物ふれ合いイベントへ、海へ、山へ、今のうちに連れて行かねばという。「汚れるからダメ!」ではなく、心ゆくまで泥んこ遊びをするべき、という彼女の言葉に目からウロコだった。

 2つ目のポイントは、食べ物で良い菌をふやすこと。ヨーグルトや納豆、みそなど、ビフィズス菌や乳酸菌などを含む発酵食品をとることで、腸内の善玉菌をふやすことができる。また、オリゴ糖(バナナや玉ねぎなどに多く含まれる)や食物繊維は、善玉菌のエサになるので、これらを食べることも善玉菌をふやすことにつながる。野菜たっぷりのみそ汁や、おやつにバナナ、オリゴ糖入りヨーグルトなどがおすすめだ。

成功する子は食べ物が9割 幼児食 p.53

免疫力を高めるにはビタミンD補給も大事! 日光浴+魚を食べる

 コロナ禍の巣ごもり生活では、子どもの外遊びも減っている。真っ黒に日焼けしていたはずの子どもも、なんだか色白になった気がする……と、日光を浴びていないことを実感するわけだが、子どもの外遊びは運動面だけでなく、日光を浴びることによって体内でビタミンDがつくられるという点でも重要だ。ビタミンDは骨や歯を強くする働きで知られているが、近年では細菌やウイルスへの抵抗力を高め、感染症に対する免疫の働きを支えるビタミンであるということもわかっているそうだ。

成功する子は食べ物が9割 幼児食 p.51

 日光をほとんど浴びていない、という場合は、ビタミンDを多く含む魚を食べることが推奨されている。本書では、魚が苦手、作るのがめんどうという悩みも解消してくれるレシピが多数紹介されている。ホイル焼きやソテーなど、フライパンで簡単に作れて、子どもが食べやすく、野菜も同時に調理できるのがいい!

成功する子は食べ物が9割 幼児食 p.103

成功する子は食べ物が9割 幼児食 p.104

 細川モモ氏自身も働く母親なのに、忙しいなかどうやって食事を作っているのだろうか? その秘訣も、たんぱく質と野菜がいっしょにとれるミートソースや麻婆豆腐の冷凍ストック→アレンジ、肉だんごは製氷トレーで冷凍してスープに落とす……など、数々のアイデアとして紹介されている。ほかにも、ごはんに納豆(善玉菌)、しらす干しや鮭フレーク(ビタミンD)をのせる、だけでいいなら、今日からでもできそう! 本書を参考に、あきらめずにコツコツ栄養強化して、コロナ禍でも子どもが健康に育つようにサポートしてあげたいと思う。

<細川モモ>
予防医療・栄養コンサルタント。一般社団法人ラブテリ代表理事。米国認定International Nutrition&Supplement Adviserの資格を取得したのち、2009年に医師・博士・管理栄養士など13種の専門家が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。聖路加国際大学と「子ども貧血共同研究」、腸内細菌のスペシャリスト髙畑宗明博士と「べビオティクス」プロジェクトなど、食と母子の健康に関する共同研究を複数手がける。