「収入」「課税所得」「手取り」3つを把握することで、お金のリテラシーがグーンと上がる!/会社員のためのお金のキホン

暮らし

公開日:2022/8/28

会社員だって年末調整で、手取りを増やせる

毎月給料から天引きされている税金。会社員の税金システムを知れば、効率のよい節税ができる

「会社員はどうせ節税できない……」。たしかに、フリーランスと比べて会社員ができる節税は限られるのは事実です。しかしだからといって「税金のことは何も知らない」でいると、間違った情報に流され、ムダな節税に走ってしまうことも。それに、いくら打てる手は限られるといっても、毎年5万円の節税をコツコツ続ければ10年で50万円も手取りを増やせます。

 会社員は税金を天引きされているため、払っている感覚があまりなく、リテラシーが弱い分野でもあります。払い損を防ぐために、ここでは最低限、持っておきたい税金の知識を解説します。

所得税は多めに前払い。取り戻さないと損

 会社員が払う税金は、「所得税」と「住民税」です。

「所得税」は毎月の収入から「暫定の金額」を徴収されます。この暫定額はその月に稼いだ金額によって一律で決められており、一人ひとりの控除は配慮されていません。つまり、会社員の所得税は、「多めに前払い」するシステムです。このため、年末調整で控除を申請し、多めに払った税金を取り戻すというわけですね。

 年末調整を「忙しいから」「面倒だから」と怠ったり、使える控除を使わなかったりすると、所得税の払い損になってしまいますので、注意しましょう。

所得税率を覚えておけば、節税の計算も一瞬でできる!

 所得税率は課税所得によって決まります。年収400万円台ならば、次のどちらかです。課税所得を見て、自分は5%か、10%かを確認しておきましょう。

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 課税所得に、所定の税率を掛けた後、さらに「税額控除」といって所得税を割り引いてくれる控除があります。住宅ローン控除も、税額控除のひとつです。少し難しくなりましたが、会社員には「給与所得控除」、「所得控除」、そして「税額控除」の3段階の控除があると覚えておいてください。

 自分の所得税率を覚えておくと、自分が節税でどのぐらい税金を取り戻せるか、サッと分かって便利です。節税と聞くと、難しく思いますが、実は、仕組みはとても単純です。

 例えば、所得税率が10%の人が、年末調整で10万円の控除を申告したとします。この場合、10万円の10%である1万円が、先に払っていた税金から還付される仕組みです。

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住民税からも10%が戻るのでWでお得

 もうひとつ、会社員が払っている税金に住民税があります。住民税は、前年の所得で決定するので、いわば後払い。税率は収入に関係なく一律10%です(復興税を除く)。

 先ほどの例のように、10万円の控除を年末調整で申告した場合、所得税だけでなく、住民税も1万円(10%)減らせます。ただし、これは還付金として戻ってくるのではなく、来年の住民税から引いてくれるシステムです。

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医療費控除で戻る額もサクッと分かる

 勘違いに気をつけたいのが、医療費控除です。医療費控除は、年間で自己負担が10万円を超える医療費がかかった場合、確定申告すれば医療費控除が使えますが、申告できるのは、10万円を超えた部分だけ。しかも医療保険などから保険金を受け取った場合は、それらも差し引いた自己負担額です。もし11万円なら申告できるのは1万円だけですので、所得税で戻るのはこの10%、つまり1000円(住民税もあわせると2000円)となります。もちろん、少額でも行う意味はありますが、目安を計算できればわざわざ手間をかけて確定申告するかどうか、判断にも役立てられますね。

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取り戻せるのは、自分が払っている税金が上限!

 節税で取り戻せる税金は、あくまでも自分が払っている税金が上限です。では、その金額がどこに書いてあるのかというと、所得税は源泉徴収票の「源泉徴収額」。住民税は給与明細の「住民税額」を12倍するか、毎年5月頃に勤務先や自治体から送られてくる「住民税課税決定通知書」で分かります。

 源泉徴収票の「源泉徴収額」が0円の場合は、いくら節税を頑張っても、戻ってくる所得税はありません……。

「住宅ローン控除で20万円戻ってくる!」と思っていても、実際に払っている税金が5万円なら、5万円しか戻りません。ふるさと納税も、きちんと自分の住民税を確認しないと、寄付額を勘違いし「2000円の実質負担」にはならない場合もあるので、ここはご注意を!

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