素朴だけど肉のうまみを存分に味わえる。豚肉を叩いて作る「ハンバーグ」レシピ/豚かたまり肉を買ってみました

暮らし

公開日:2023/4/22

肉を味わうことを最優先に

 ハンバーグのタネには玉ねぎも欠かせません。こちらは甘味とうま味、さらにホロホロとした食感を追加します。入れる前になぜ茶色にするのか。それは、甘味と、うま味、そしてちょっとの苦味が味の深さになるからです。

 玉ねぎのツンとした刺激は硫化アリルという成分によるものですが、熱を入れることで、玉ねぎが本来持つうま味が凝縮されます。エシャレットやリーキと呼ばれる野菜で作るレシピもありますが、やはり火を通した玉ねぎのやわらかい食感は、ともすれば硬くなってしまうハンバーグに欠かせません。

 ハンバーグといえばおなじみのナツメグは肉の臭みを消して、玉ねぎの甘味を引き出してくれますが、手元になければ入れなくてもいいでしょう。肉の持つ多少の風味は肉の個性だと思えばいいんです。

 しばらくこねていると粘りが出てきます。次第にこねる手(あるいはヘラ)が重くなり抵抗感が生まれてきたら粘りが出たサイン。そこから先はあまりやりすぎないでください。というのも肉の組織が傷み、焼いている時に縮みやすくなります。粘りが出てきたなと思ったあたりで、やめた方がいいですね。

 ちなみに、料理で混ぜるときは、右回り、時計回りでやるといいという迷信があるのですがご存じでしょうか。地球の自転と同じ方向で、コリオリの力というモーメントがかかっているからだと私は思っています。まあ都市伝説かもしれませんが、おいしくなるためだったらどんな努力もいとわないので。ちなみにお掃除は左回りにやると、汚れがよく落ちるとか。

理想は球のような形のハンバーグ

 さて、粘りが出たらタネを成形します。みなさんおなじみ、両手でキャッチボールをするのは、中の空気を抜くために欠かせない作業。焼いた時のヒビ割れを防ぐ効果があります。

 大きさは150〜200g。テニスボール大にすると、火が入りやすくなります。ハンバーグは俵形、小判形にするのが一般的ですが、私の理想は球状です。薄く成形するのは、素早く火を入れるためですが、球体の方が中までじっくり均等に火が入ります。

 でも、焼くのは難しいですね。まずは外側をフライパンで焼き固めてじっくり火を入れるといいでしょう。外を焼き固めると肉汁が出ない、という説がありますが、それは実は眉唾だとか。しかし、外を焼き固めることで、型崩れを防ぐことはできます。とにかく外に火を入れて、中はじっくり火を入れるということを忘れないでください。

 表面に焼き色をつけたら、あとはオーブンで焼いていきましょう。まずは170℃に予熱したオーブンに入れ15分程度。じっくりと火を入れて、中心温度が75℃~80℃になるのを目指します。外を焼き固め、中は蒸すようなイメージでしょうか。

 しっかりと焼けたのか肉汁の色で中まで火が通っているか確かめるという方法もありますが、60℃くらいから肉汁は透明になるので、それだけでは判断できません。やはりここでも温度計を使うことが大事。

 ちなみに、ラップをかけて電子レンジで加熱(600w 5分)してもいいですが、水っぽい仕上がりになりますので、お店のように仕上げたい場合はオーブンをお勧めします。

 焼き上がったら中の温度を確認し、足りないようでしたらさらに5分加熱。そのまま食べてもおいしい完璧なハンバーグの完成です。

 ソースを作る場合は、玉ねぎを炒めたフライパンでしょうゆとみりんと、赤ワインを煮詰めたあとに、バターを入れるといいでしょう。ワインがない場合は酒でもいい。わさびじょうゆと合わせてもおいしくいただけます。

 作り始めたら完成まで味見ができないハンバーグ。きっと不安でしょうが、そのためにレシピがあるわけで、私の舌を信じて試していただきたいと思います。

ハンバーグ

素朴だけど忘れられなくなる味

おすすめのかたまり バラ/ロース/肩/すね

材料(2人前)

豚肉──300g
塩(肉の重量の0.8%)──2.4g
玉ねぎ──100g
サラダ油──小さじ1
つなぎ
A  お麩──30g
  牛乳──30ml
  卵──1個
  塩──3g
ブラックペッパー──1.5g
ナツメグ──1.5g

作り方

1 肉を削ぎ切りにしたあとに包丁で叩く。

2 玉ねぎをみじん切りにして、油をひいたフライパンで薄茶色になるまで弱火で炒め粗熱を取る。

3 1と塩をボウルに入れて、粘りが出るまでこねる。

4 麩はフードプロセッサーで細かくして、Aの材料すべてを3に加えて混ぜる。

5 2を加えよく混ぜ合わせたら、冷蔵庫に入れて30分ほど寝かせる。

6 両手にサラダ油(分量外)をつけてテニスボール大の生地を取り、両手でキャッチボールのようにして中の空気を抜く。表面がひび割れないようなめらかに成形する。

7 よく熱した鉄のフライパンに油をひき、6を入れ、全体的に焼き目をつける。

8 予熱した170℃のオーブンで中心が75℃以上になるまで(約15分)焼く。

POINT

◉表面はメイラード反応を発生させるだけ。内部はオーブンでゆっくり火を入れる。

◉パン粉ではなく麩で保水力UP

<第3回に続く>

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