『おむすびころりん』あらすじ紹介。自分次第で人生が変わる! ハプニングを楽しんだおじいさんに訪れた幸運な出来事

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/10

「おむすびころりん、すっとんとん」は幼少時に口にしたことがある人も多いのではないでしょうか。『おむすびころりん』はこのフレーズが有名なおとぎ話で、おじいさんが本来、害獣とされているねずみの国で幸せな体験をするという一風変わったお話です。

 本稿ではそんな『おむすびころりん』を解説し、あらすじを最後までご紹介します。

おむすびころりん

『おむすびころりん』の作品解説

『おむすびころりん』は古くから口伝されてきた文学で、室町時代に御伽草子の一編として成立したとされています。無欲なおじいさんと強欲なおじいさんの対比構図が特徴的で、因果応報をはじめとした仏教的な教訓も描かれています。

 また、ねずみを「根住み」として、日本神話的な異世界である「根の国」の住人であるとしている点もユニークです。

『おむすびころりん』の主な登場人物

おじいさん:おにぎりを落としたことをきっかけに、ねずみの国に迷い込む。

おばあさん:おじいさんにおいしいおにぎりをお弁当に持たせてあげる。

隣のおじいさん:欲深い性格で、ねずみたちに財宝を強要する。

『おむすびころりん』のあらすじ​​

 むかしむかし、ある村に心優しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。働き者のおじいさんは山で薪を切っていました。お昼になり、おばあさんが握ってくれたおむすびを食べようと、包みを開けました。すると、おむすびが一つ滑り落ちて山の下へと転がり、ぽっかりと開いた穴に落ちてしまいました。

「ああ、もったいない……」とおじいさんが穴の前で立ち尽くしていると、「おむすびころりん、すっとんとん」と中から楽しげな歌が聴こえてきました。不思議に思ったおじいさんは、試しにおむすびをもう一つ穴の中に転がしてみました。すると、また歌が聴こえてきます。すっかり歌に魅了され、誰が歌っているんだろうと穴の中を覗いてみるおじいさんでしたが、うっかり足を滑らせて穴の中に転がり落ちてしまいました。

 おじいさんが転げ落ちた先にいたのはたくさんの白いねずみ。穴の中はねずみの国で、おむすびころりんの歌はねずみたちが歌っていたのです。「美味しいおむすびをありがとう」とねずみたちはおじいさんに感謝を伝えます。そして、お礼にと大きいつづらと小さいつづらを差し出し、どちらかを持ち帰るよう言います。

 重いものは持てないからとおじいさんは小さなつづらを選びました。家に帰ったおじいさんは、おばあさんに今日のことを話し、持たせてくれたつづらを開けてみました。するとびっくり、つづらの中には見るも眩しい金銀財宝が詰まっていたのです。

 この話を聞きつけたのは欲深い隣のおじいさん。さっそく山に向かい、穴の中におにぎりを投げ入れると、自分も穴の中に入っていきました。そして、つづらを寄越せと半ば恫喝めいた要求をします。ねずみたちは同じように大きいつづらと小さいつづらを持ってきましたが、欲張りなおじいさんは猫の鳴きまねをして驚かし、混乱に乗じて両方持って帰ろうとしました。しかし、ねずみたちの噛みつき攻撃におじいさんは降参。意地悪をして独り占めしたことを後悔し、欲深さは鳴りを潜めるのでした。

『おむすびころりん』の教訓・感想​​

 うっかりおむすびを穴に落としたことから、ねずみたちと知り合ったおじいさんですが、ハプニングも自分次第で楽しい出来事にできるのだということが分かりますね。また、心優しい人には幸運が、よく深く、意地悪な人には悪いことが返ってくるという教訓も込められた作品です。

<第23回に続く>

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