「叫び」を描いたムンクの泣ける絵。姉の死期が近いことを示すカーテンの闇が…/つい人に話したくなる名画の雑学⑥

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/19

つい人に話したくなる名画の雑学
1917年 油彩、キャンバス 1016×813㎜ 個人蔵

英雄ロビン・フッド
最後に放つ矢の行方は?

『ロビン・フッドの死』

ニューウェル・コンヴァース・ワイエス
【アメリカ 1882~1945年】

正義を貫いた森の英雄ロビン・フッドの最期

 シャーウッドの森の英雄ロビン・フッド。悪い貴族や僧侶から金を奪い取り、貧しい庶民に与えたという英国の義賊です。絵画では、その最期を描いています。

 体調不良により、尼僧の瀉血治療と呼ばれる、血を抜くことで悪い血を出すという迷信による治療を受けることにしたロビン。しかし尼僧は敵に通じており、彼は致死量の血を抜かれてしまいます。死を覚悟した彼は最後の矢をつがえ、相棒リトル・ジョンにこう言うのです。「この矢が落ちた所に私の墓を掘ってくれ」。

 ワイエスは20世紀米国を代表するイラストレーター。同じく米国のハワード・パイルの弟子となり、スティーヴンソンの名作『宝島』の挿絵で大成功を収めます。その後『モヒカン族の最後』『ロビンソン・クルーソー』などビッグネームを次々と手掛けました。油絵など絵画の世界においては、現代社会の人々の生活や日常を描くというアメリカ写実主義に傾倒しています。

瀉血治療

 中世から18世紀終わりまで、西洋医療では血を抜く瀉血治療が盛んに行われていました。中世まで、実践するのは僧侶の役目。ロビン・フッドも従姉妹の修道院で瀉血してもらったのですが、彼女は敵と通じていました。多量の血を抜かれた彼は力を失い、飛び出てきた刺客に抗えず致命傷を負ったのです。12世紀ローマ法王が瀉血治療を禁じるとその担い手は床屋に引き継がれ、あの赤と青の看板が生まれるきっかけとなりました。

<第7回に続く>

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