「叫び」を描いたムンクの泣ける絵。姉の死期が近いことを示すカーテンの闇が…/つい人に話したくなる名画の雑学⑥

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/19

つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)第6回【全7回】

「昔の風俗をつぶやくよ」ことヤスダコーシキ氏が、落ちついた語り口をベースに、独自の解釈をネットスラングなども用いてわかりやすく絵画を解説。
名画のモチーフや当時の背景、作家の人生など、絵画にまつわる雑学を誰でも楽しく知ることができます。軽妙で読みやすい文章は、長文でもさらっと読めるほど。ヤスダコーシキワールドに惹き込まれれば、あっという間に1冊を読破してしまいます。
読後感は「おもしろかった!」と充実したものになること確実。絵画に興味がある人はもちろんのこと、絵画に対してハードルが高いと感じている人や、長文が苦手な人でも楽しめる1冊です!

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つい人に話したくなる名画の雑学
『つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)

つい人に話したくなる名画の雑学
1885~1886年 油彩、キャンバス 1200×1185㎜ オスロ国立美術館(ノルウェー、オスロ)

ムンクの姉ソフィー、死期を悟った彼女の瞳

『病める少女』

エドヴァルド・ムンク
【ノルウェー 1863~1944年】

いつものムンクの作風とどこか異なる悲しみの絵画

 ムンクの作風は、どこか人を不安にさせるのが特徴です。しかし、この絵はとても悲しい気持ちにさせられます。

 ベッドに寝ている少女は結核により10代で早世したムンクの姉ヨハンナ・ソフィー。彼女の母は既に亡くなっているので、横で嘆く女性は叔母でしょう。ソフィーの表情は優しげですが、その瞳には自分の死期を悟った諦めの色が浮かんでいます。彼女の命がもう長くないことを指し示すように、右側に描かれたカーテンは深い闇を孕んでいます。ムンクはどんな気持ちでこの絵を描いたのでしょうか。

かの有名な『叫び』も愛と死と不安がテーマ

 ムンクはノルウェーの王立絵画学校に学んだ後、パリに留学。印象派らの影響を強く受け、「生命のフリーズ」と呼ばれる作品群を発表。これは愛と死と不安をテーマにしたものでムンクの『叫び』もこの作品群の中に含まれます。ピストルで怪我をする、精神病院に入院するなど波乱万丈でしたが、ノルウェー政府からは認められており、ノルウェー国立美術館が何点も彼の作品を購入するなど一定の評価を受けました。

つい人に話したくなる名画の雑学
『叫び』 1893年 油彩、カゼイン、パステル、厚紙 910×735㎜ オスロ国立美術館(ノルウェー、オスロ)

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