怒りを爆発させた女が、敵将を井戸に放り込む!? 大王も笑って許した彼女の勇気とは/つい人に話したくなる名画の雑学④

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/17

つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)第4回【全7回】

「昔の風俗をつぶやくよ」ことヤスダコーシキ氏が、落ちついた語り口をベースに、独自の解釈をネットスラングなども用いてわかりやすく絵画を解説。
名画のモチーフや当時の背景、作家の人生など、絵画にまつわる雑学を誰でも楽しく知ることができます。軽妙で読みやすい文章は、長文でもさらっと読めるほど。ヤスダコーシキワールドに惹き込まれれば、あっという間に1冊を読破してしまいます。
読後感は「おもしろかった!」と充実したものになること確実。絵画に興味がある人はもちろんのこと、絵画に対してハードルが高いと感じている人や、長文が苦手な人でも楽しめる1冊です!

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つい人に話したくなる名画の雑学
『つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)

つい人に話したくなる名画の雑学
1659年 油彩、キャンバス 2280×1745㎜ カポディモンテ美術館(イタリア、ナポリ)

ダイナミックかつ華麗に、井戸へズドン!

『アレクサンドロス大王の武将を殺すティモクレア』

エリザベッタ・シラーニ
【イタリア 1638~1665年】

理不尽すぎる武将を見事に成敗!

 女の怒り爆発! ダイナミックな構図ですね。これはアレクサンドロス大王がテーベ(現ルクソール)を占領した時の話です。

 大王配下のある武将が現地の女性ティモクレアをレイプし、その上金まで寄越せと要求しました。図々しいにも程がありますが、ここで彼女は一計を案じ、こう言います。「お金はこの井戸に隠してあるんです」。

 どれどれと井戸を覗く単細胞の武将。その時でした。彼女は武将の足を摑むと井戸にズドン! 武将は井戸の底へと消えました。

 画家シラーニはボローニャ生まれ。イタリアの女性画家の先駆とも言える女性で17歳から腕を振るった天才でした。かのメディチ家の支援を受けるほどでしたが、惜しくも27歳の若さで亡くなっています。

 なおティモクレアですが、彼女はその後大王の軍に捕まります。しかしあらましを聞いたアレクサンドロス大王は笑って彼女を許したそうです。ティモクレアの勇気に感服したのでしょう。

女性画家の死因

 シラーニは女性画家の数少ない経済的成功者。しかし、彼女の死因は彼女がかなりの社会的重圧に晒されていた事を示しています。シラーニの死因は消化器系の潰瘍による腹膜炎という説が有力。強いストレスが彼女を蝕んでいた、という事なのでしょう。

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