人類最初の殺人を描いた泣ける絵。父の膝の上で伸びるアベルの亡骸が綺麗すぎる…/つい人に話したくなる名画の雑学⑤

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/18

つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)第5回【全7回】

「昔の風俗をつぶやくよ」ことヤスダコーシキ氏が、落ちついた語り口をベースに、独自の解釈をネットスラングなども用いてわかりやすく絵画を解説。
名画のモチーフや当時の背景、作家の人生など、絵画にまつわる雑学を誰でも楽しく知ることができます。軽妙で読みやすい文章は、長文でもさらっと読めるほど。ヤスダコーシキワールドに惹き込まれれば、あっという間に1冊を読破してしまいます。
読後感は「おもしろかった!」と充実したものになること確実。絵画に興味がある人はもちろんのこと、絵画に対してハードルが高いと感じている人や、長文が苦手な人でも楽しめる1冊です!

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つい人に話したくなる名画の雑学
『つい人に話したくなる名画の雑学』(ヤスダコーシキ/KADOKAWA)

つい人に話したくなる名画の雑学
1897年 油彩、キャンバス 1255×720㎜ 国立ロシア美術館(サンクト・ペテルブルク)

入り口で躊躇する少年
背中を押してあげたくなります

『学校の入り口で』

ニコライ・ペドロヴィッチ・ボグダノフ=ベルスキー
【ロシア 1868~1945年】

都会の学校へ来た少年
杖の先だけ教室に……

 教室の入口で佇む少年。中に入るのを躊躇してしまう気持ちは分かります。彼の服装は、同級生に比べると大変みすぼらしいからです。杖を持っている様子を見ると、山間部から都会の学校に初めて来た子ではないでしょうか。ちょっとこの先が心配ですが、よく見ると彼の杖の先は既に教室に入っていますね。君には輝かしい未来が待っているよ、と背中を押してあげたくなります。

移住を余儀なくされたリアリズムの画家

 ベルスキーは、ロシア帝国芸術アカデミーで絵を学び、パリの個人アトリエで修行したリアリズムの画家。もっぱらラトビアで活動しました。風俗画を手掛けており、肖像画や風景画も描きましたが、お気に入りのテーマは農村での子どもの教育だったようです。この作品の他に『村の学校での日曜朗読』、『ラチンスキー学校での暗算』などがあります。しかし残念ながら、彼の画風は当時のソビエトにおける社会主義的リアリズムと相性が悪かったようです。最終的に彼はベルリンへと移住しています。

つい人に話したくなる名画の雑学
『村の学校での日曜朗読』 1895年 油彩、キャンバス 970×1540㎜ 国立ロシア美術館(サンクト・ペテルブルク)

つい人に話したくなる名画の雑学
『ラチンスキー学校での暗算』 1895年 油彩、キャンバス 1070×790㎜ トレチャコフ美術館(モスクワ)

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