バイト仲間の集まりにひとりだけ誘われず号泣。その姿を目撃した副店長から思いもよらない言葉が…/これは勇気の切断だ③

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/17

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病気をきっかけに不登校になった中学生時代。リアルが充実し始めたけど、卒業する頃にはまた友達が0人になっていた高校時代。アルバイト先の皆で行くボウリングに自分だけ誘われなかった大学時代。あえてパジャマで出社した社会人時代。

もこうが“もこう”になるまでの全てを大公開! 「配信なんかではまるで美談のように話してるけど…」 今だからこそ言える、 もこうの秘めたるの想いがここに。

※本作品は『これは勇気の切断だ』(もこう/スターツ出版)から一部抜粋・編集しました

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これは勇気の切断だ
『これは勇気の切断だ』(もこう/スターツ出版)

もこうのブログ
2011年2月9日

 前記事からの続き

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 副店長「なんや、皆ボウリング行ったで、いかんのか?」

 

 俺はこの問いかけを捌け口に、一気に泣き崩れた。

 

 俺「っ!!いっや、あの。。。俺誘われてないっすっ・・・・!! 誘われてないんで、行く訳ないんで・・・っ!!」

 

 副店長「あー、・・・そうやったんかいな」

 俺「いやっ・・・ちがっ・・・別にっあの、ボウリングいきたいとか、そんなんじゃ、、ズズッッ! ヒックヒック なっ、ないんスけど。。。いや、違うんっす、なんかっ・・いやっ、なんか寂しいな、みたいな・・・ええ・・はい・・・ズズズッ チーン」

 副店長「・・・・・」

 俺「っすんまっせん・・・・いや、まじで、汚いっすよね・・・ズズズズッ 何泣いてんねん自分って感じっすよね・・・これ・・・゛あ゛あーーー ズズズーーーーッ!!ッチーーン」

 副店長「いやいやいや、そんなん泣くことあらへんやんか」

 俺「ズズズズーーーーッ はっ・・・あの・・・・いや、、もうええんで、、、これさっさとメモって。。。帰るんで・・・ぼくっ・・・! シュッシュッシュ  ・・・・ ビェェエエエーーー!!」

 副店長「!? ・・・い、いやな、そらな、わからんでもないで。そら人づきあいって皆難しいもんや最初は。でも君、まだ1ヶ月とか2ヶ月とかとちゃうの? 俺もこの仕事長ーやっとって、バイトの人間何人も見てきてるけどやな、そんなん、いきなりは皆誘われたりせーへんて。」

 俺「・・・ズズズッッ」

 

 その時は副店長の言葉に少し安心した。

 でも、新人だろうと何だろうと、誘われる奴は普通に誘われるものじゃないか?

 そう考えると、凄く気を遣ってくれた発言だったんだなと今となっては思う。

 

 副店長「うーん、やっぱり、みんな半年とかさ、もっと経ってから皆と打ち解けていく子が多いで。そら中にはずっと喋らん子とかもおるし、その逆のタイプの子だっておるし。もこう君も徐々に仲良ーなっていったらええんちゃうの? まぁ、俺も実際、あんま人とコミュニケーション取るの得意とちゃうねん」

 俺「ぅぅっ、・・・っそうなんですか・・? ズズッ」

 副店長「んああ、そうやで? 昔っからな、あんまそういうの得意とちゃう。やけどさ、こういう仕事やから、そらまぁ人とうまくやっていかんと話にならんし、自分と合わん人とだって時には無理やりつき合わなあかんこともあるやん。特に、君らみたいな若い子相手なんかやと、世代がちゃうやん? やから、何喋ってええんかわからんくてよう苦労するわw」

 正直なところ、副店長の第一印象は、「典型的チンピラ」だった。

 ガラが悪そうで、目つきも鋭く、目が合うとまるで自分が睨みつけられているかのような。かなり失礼なことを言うが、きっと学生の頃はやんちゃばかりしてた人なんだろうなと。

 それだけに、「俺もコミュニケーションは苦手」という意外な発言は心底驚いた。

 

 俺「あ、っあの、、、いや。。。ほんと、もう、大丈夫なんで・・・! ズルッ  ・・・なんか、、ちょっと気が楽になりましたわ・・・すんませんでした今日はほんまに。いや、ほんまになっさけないっすわ自分。。もうほんま、大丈夫なんで・・・。これ(喫茶レシピ)戻してきますわ。。。お疲れさまっした・・・!。。」

 

 ああ、本当に情けないな自分。

 たかだかボウリングに誘われないくらいで泣いてんだもんな。

 お前ここに何しに来てるんだよ。バイトだろ。金稼ぎだろ。仕事終わったんならはよ家帰って配信でもしとけよ。何、副店長相手に泣きついてんねん。傍には店長もおるのに。恥ずかしないんか。

 こりゃ一生の黒歴史確定。

 そうやって頭の中で自分を責め続ける。

 それにしても今日はいろいろありすぎた。兎に角早く撤収しよう。あんまり長くいても迷惑になる。

 

 ものの8秒で喫茶レシピを元の場所に戻してきた俺は、改めて店長・副店長に帰りの挨拶をするため事務室に戻ろうとする。

 その時副店長が中から出てきた。少し不意をつかれながらも俺は涙を拭い元気よく挨拶する。

 

 俺「お疲れ様です! アップします」

 すると、

 副店長「もう準備ええんか? おっしゃ、俺らも行くかボウリング。」

 俺「・・・・・・えっ。」

 

 まさかの返事が返ってきた。

<第4回に続く>

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