皆と打ち解けるまではなくても、なんとか自然に接することができるかもと思った矢先…まさかの?/これは勇気の切断だ⑥

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/20

YouTubeチャンネル登録者数150万人越え! 大人気ゲーム実況者もこうによる初の自伝エッセイが発売!

病気をきっかけに不登校になった中学生時代。リアルが充実し始めたけど、卒業する頃にはまた友達が0人になっていた高校時代。アルバイト先の皆で行くボウリングに自分だけ誘われなかった大学時代。あえてパジャマで出社した社会人時代。

もこうが“もこう”になるまでの全てを大公開! 「配信なんかではまるで美談のように話してるけど…」 今だからこそ言える、 もこうの秘めたるの想いがここに。

※本作品は『これは勇気の切断だ』(もこう/スターツ出版)から一部抜粋・編集しました

【30日間無料】Amazonの読み放題をチェック >

【初購入金額がポイント70倍】楽天Kobo電子書籍ストア


これは勇気の切断だ
『これは勇気の切断だ』(もこう/スターツ出版)

もこうのブログ
2011年2月11日

 前記事からの続き

 ————————————–

 

 キッチンの社員さん「料理長、一応ゲーム数減らしてないんで、5じゃなくて6ゲームなんで、お金大丈夫ですかね?」

 

 そういって副店長に投げかける社員さんの発言を聞いた時だろうか、頭がクラッとなったのを覚えている。

 

 6、、、6ゲーム!? 嘘だろ、そんなにやってたら明け方まで続くぞ。

 今2ゲーム消化したが、、まだ4ゲームも残ってるってことか。

 俺今日朝起きるの早かったし、バイト上がりだし疲れてて眠い。ダメだ耐えきれる気がしない。2,3ゲームで終わるんだと思って油断していた・・・。

 

 副店長「ん、了解了解。」

 

 ボウリング代は副店長に全て払ってもらう約束だったのでお金の心配はない。申し訳なさとありがたさが募る一方、「6ゲーム」と聞いた時の一時的なショックで頭がそればかりになり、この時は会釈すら出来なかった。

 

 残り4回・・・。Bさんを始めとする今のグループのメンバーたちとは比較的やりやすい。そんな大盛り上がりする程のテンションではないし、実力的にも、最下位になる程弱くない。

 せめて今のグループのまま残り4ゲームを続行したい・・・。

 

 だがしかし、無情にもあの「お別れグーチョキパー」を強いられることとなった。

 Bさん「ぐーちょきぱーで分かれましょ! ポン」

 俺グー、Bさんチョキ、キッチンバイトの二人はチョキとパー。

 見事に別れた。

 

 結果は。。。

 同じグー組は皆女の子だった。これは最悪だ。もう開始前から蚊帳の外確定。

 イケメンリア充ならうまく女の子たちを立てて盛り上げられるんだろうが俺にそんな芸当は不可能。

 がっくり肩を落としているとA君がなんか言ってきた。

 

 A君「うわーー、もこうさんハーレムじゃないっすかーーー!羨ましいわーーww」

 俺「・・・うっさいな黙っとけ。やったら俺と代わるか? その方がお前も嬉しいんちゃうんか、一反木綿みたいな顔しやがってwww」

 ・・・なんて言える訳もなく、「ははは・・・」と苦笑いするしかなかった。

 

 3ゲーム目開始。同グループの女の子たちは案の定、俺そっちのけで3人で会話してる。

 俺が投げる時はかろうじて見てくれてるようだったが、中途半端にコメントするぐらいならいっそ完全スルーしていただきたい。なんだよ「もう少しで80点ですねー」って。恥ずかしいわ。

 

 大して盛り上がらないままこのゲームも終了。スコアは覚えてないが100点切ってた。しかしグループの女の子一人が、ハンデ込みで200点をたたき出すなどの活躍で総合点はトップだった。もちろん賭けをしているので、最下位グループからジュース代を徴収。俺は自販機に買いに行かず、貰った150円をポケットにしまい座り続けた。

 さて、さっきはあれだけ嫌だったお別れグーチョキパー、今となっては「待望の」お別れグーチョキパーである。

 

 結果

 俺と女の子一人(200点取った子)がさっきと同じグー組でレーンの移動無し。

 抜けた女の子二人の代わりに、バイトで同じポジションの先輩(1ゲーム目の先輩とは違う人。2月いっぱいで辞めるとのこと。わりと丁寧に仕事を教えてくれる。)と、副店長が入って来た。これは中々の良メンバー。

 移動を済ませるやいなや副店長が話しかけてくる。

 副店長「おお、どうや、楽しいかボウリング。ちゃんと声出しとるか。」

 俺「いやぁ。。。そうっすね・・! やっぱこれ(ボウリング)楽しいっすね。なんだかんだ来てよかったっすわ。(9割嘘)」

 副店長「やろお? まぁまだまだあるからこういう時は楽しんどけよ。もったいないからな。」

 思ってもいないことをぬかす自分に嫌気がさす。自己嫌悪だ・・・。

 

 4ゲーム目も前回、前々回同様に賭け有でスタート。

 先頭バッターはまたしても俺。初投、ボールの穴に指がひっかかり、前に投げると言うより上に持ち投げるような形になってしまい、レーンにボールがズドンと落ちる。豪快なガーターをかました。

 これにグループの皆はウケたようで、少しだけ場が沸いた。

 でも相変わらず俺にだけハイタッチがない、もしくは片手だけや構えだけだったりの微妙な空気はなくならない。

 1ゲーム目に目視した「両手からの片手ハイタッチ」は先輩からも繰り出された。

 

 俺はこの頃辺りから、俺がボウリング場に到着する前、ここがどういう空気だったのかを悟り始めた。憶測ではあるが。

 恐らく、A君が俺に対する不平不満をぶち上げまくっていたのだろう。

 タイミング的には、電話で副店長と「俺」が後からくるという連絡を受け取った時だ。

 

「なんであいつまで来るんだよwww呼んでねーだろwwwなー皆?」

「大体あいつ仕事ろくにできないし一緒にやっててやりにくいんだよな。プリンも独り占めしやがるし。そーっすよねー社員さん? ああーさっさと辞めねーかなあれ」

 

 こんな風に・・・!

 そしてそれを聞いた他メンバーは、俺に対して別段悪い印象がないにしろ、A君がそこまで言うとは・・・ってな感じで、俺と距離を取らなきゃいけないみたいな雰囲気が出来上がった。

 

 だからエレベーターから出て皆と合流しても誰一人声をかけてくれなかったし、ハイタッチだって、あんな意味わからん片手タッチみたいになっちゃっている。

 

 念を押して記すがこれはあくまで俺の憶測である。

 

 ・・・・・・ただの被害妄想であってほしいが、A君が俺を嫌っているのは確実な訳だし、どちらかといえば予想が的中している可能性の方が高い。

 しかしそんなことを考えていても何にもならない。だから今はとにかく我慢。ただ椅子に座っていればいい。そして順番が回ってきたらボールほうってピンを倒す。投げ終わったらまた座る。その作業を繰り返せばいい。

 

 そうしてたらほら、4ゲーム目も終わったぞ。なんだ余裕じゃないか。後半戦折り返しだ。

 副店長と別れるのは心細いが、もう残り2ゲームだ。余力を出し切ってゴールまでつっぱしろう。

 ・・・ってあれ、そういえば賭けはどうなった。最下位どこだっけ?

 

 先輩「あー最悪やー くそー なんか今日調子悪いわ。おい、トップどこ? はいこれ、ジュース代」

 と他グループメンバーとやりとりする先輩。

 おいおい最下位うちかよ! どうしようどうしよう、金ないって俺、これまた副店長に頼るしk・・

 

 副店長「ほい、二人分」

 ・・・副店長・・・! なんという神がかり的なフォロー。また救われてしまった。もう俺はこの人に足を向けて寝れないな。

 よしこうなったら、お別れグーチョキパーでも賭けでもなんでもやってやろうじゃねえか。

 

 3度目のお別れグーチョキパーが行われた。俺はパー組となる。

 

 ・・・この時、A君という天敵の存在が頭から完全に抜けていた俺に、その光景はあまりにショッキングだった。

 

 A君「パー組あつまれーーーー! wwwwww」

 

 ————

 次回は土曜日

 

 長々しくなってしまい申し訳ありません。今度こそあと2回の更新で終わらせるので最後までお付き合い下さい。

<続きは本書でお楽しみください>

本作品をAmazonで読む >

あわせて読みたい