ヒャダイン連載 【第5回】就職活動を忘れていた自分が、『はたらきたい。』を読んでみた

更新日:2013/8/8

「フリー」は「偉大なる無職」。でも、ほんと未来がないんです。

 「グレートフリー」というグループ(?)の板尾創路さん、ピエール瀧さん、天久聖一さん、浜野謙太さんの座談会は同じく「フリー」の自分としては共感できるとこが多く、ぜひその場にいたかったなあと思うくらいでした。「フリー」、すなわち個人事業主。グレートフリーのみなさんもプロダクションやレコード会社に所属はしていますが、会社に勤めているのとは全く違う形式で、それそれが個人事業主で先方と毎回取引をしているようなものなんですよね。だからいきなり無職になる可能性もあるわけで。本では「偉大なる無職」と表現していますが、ほんと未来がないんです。それ言っちゃえば今どの会社だってどうなるかわかんないし、いきなりリストラでクビ切られる可能性があるっちゃありますが、僕ら「フリー」の人間はそのリスクが極めて高い! 結局グレートフリーの座談会は傷の確認仕合い、再確認の場みたいになっていて自分としてもやるせない気持ちになったのですが同じ不安を抱えていると思ったら凄く気が楽になりました。

やっぱりYAZAWAはかっこいい。しびれます。

何もかもがカッコイイ。ロックな曲もアーバンなバラードも最高!

 そして大御所、矢沢永吉さんと糸井重里さんの対談。これはぜひ皆さんに読んでほしいです。やっぱりYAZAWAはかっこいい。しびれます。糸井さんとは気心が知れているようでとてもナチュラルにお話しをされているのですが、ひとつひとつの言葉に重みがあります。糸井さんは本著において「面接の時に聞きたいのは『あなたが一番大切にしてきたことは何?』」じゃないかと提言されているのですが、それに対する矢沢永吉さんの答えが「上がりたかったんだ」。くっそーー。かっこいい。お金持ちになる、とか、えらくなりたい、とか色々言い方はあるけど、とにかく上に行きたいとのこと。それは昔も今も変わらず。だけど今までの人生頑張りすぎちゃったかな、という客観的な自己分析もされていて、「プラスの5を狙ったらマイナスの5が背中合わせについてくる。プラスを狙わないなら、マイナスも来ない。ゼロだ。どうする?」永ちゃんはそこでプラスの10を選んでやはりマイナスの10を背負うことになったらしいです。それを持ち前の真面目さと「上に行きたい」根性でどんどんクリアしていったという。そして最近の若い人達についても言及していました。特に僕達世代、草食系なんて言われていますが、お金や権力的なものに興味がなく、必要最低限あればOKで多くは望まない。このまんまでズルーっといけたらいいや、という人が増えているけど、永ちゃんは「それはそれでいいと思うけど、歳を重ねていくとそれじゃあやってられなくなる。金もかかる。でもそのスタンスを続けるのなら立派な一つの生き方だ。だけど、条件は、人のせいにしちゃダメだよ。国が悪いとか会社が悪いとか世間が悪いとか。自分で選んだ道、自分で処理する。」とアドバイス。

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面接未経験者による勝手なイメージ

 言葉の重みがズドーーンと来ました。やはりそうなんですよ。自分で保守的なものを選んでおきながらなにか問題が起きたらどうも何かに責任転嫁してしまう。こそーーっとプラスの2をゲットしようとしたらマイナスの2がついてきて、そのマイナスを何かのせいにする。いけないよなあ。うん。ダメだよなあ。とても優しい永ちゃんの語り口なんだけど、すごく鋭く的を捉えていてハっとさせられました。

 この本は『はたらきたい。』というタイトルで、就活本の括りになるのかもしれないですが、具体的なノウハウは一切ありません。だけど、就活に際して精神的に成長したい方もやもやを感じながら就活をしている方、ぜひ読んでみてください。何かが変わると思います!

今日の一句

仕事って 大変だけど 楽しいよ