相手の襟と首の間の動きで呼吸の状態を把握! 会話をコントロールする「合わせる呼吸」 /仕事に効く! ポジティブため息④

ビジネス

2019/11/13

 人間は、1分間に約15回、1日に約2万回、1年に約730万回の呼吸をしています。 それだけに呼吸コンディションを低下させている人は、知らず知らずのうちにさまざまな不調や病気の因子を抱えるようになり、当然、仕事の効率性も低下させていくことになる――そう語るのは日本マイブレス協会代表理事、倉橋竜哉氏。 凹まないメンタルの極意は「ため息」にあり! 挑戦することが、どんどん楽しくなる呼吸法をお伝えします。

『仕事に効く! ポジティブため息』(倉橋竜哉/山と渓谷社)

苦手な人間関係で凹まない

呼吸のリズムを合わせて会話する

 コミュニケーション能力のアップは呼吸法が得意とするジャンルの1つです。というのも、コミュニケーションがうまくとれていて人間関係が良好な状態を「息が合っている」と表現することがあることからもわかるように、呼吸は人間関係をはかるための重要な要素だからです。

 今回紹介する「合わせる呼吸」」は、文字どおり、対面している相手の呼吸と自分の呼吸のリズムを合わせるもので、これを行うことにより、意思疎通がしやすい関係をつくることができます。息を合わせるといっても、相手に協力してもらう必要はありません。こちらの工夫によって、良い関係をつくることができます。

 「相手のいることだから、合わせる呼吸はちょっと難しそう」と思ったら、そのウォーミングアップとして、実践してほしいのが、まわりの人の呼吸を観察することです。これなら、もっと気軽に取り組めるでしょう。対象は、たとえば電車でホームに並んでいるときの前の人、あるいはランチのときに隣に座った人、もちろんビジネスの打ち合わせのときの取り引き先の担当者でもよいですし、リビングで一緒にくつろいでいる家族でも構いません。

 呼吸を確認するのは、肩や胸元、お腹の動きでもよいのですが、おすすめは襟と首の間の動きを見ることです。

 その人がどのような呼吸をしているのかを見ると、少しずつその人の心が見えてくるようになります。襟元と首の間を見る場合、動きがほとんどなかったり、小刻みに速く動いていたりするなら、それは浅い呼吸をしていることになります。ちょっと焦っていたり、興奮しているということです。

 反対に、ゆっくりと大きく動くようであれば、その人は深い呼吸をしていることになります。その人は落ち着いた精神状態にあると言えるでしょう。

 私が呼吸法の講師として講演する場所の1つにコールセンターで働く方々への研修があります。

 一般的に、コールセンターは離職率が高い職業といわれています。お客様からのクレームなどにより、ストレスが溜まるのでしょう。せっかく就職したのに、数ヵ月で辞めてしまう人も少なくないそうです。

 そのコールセンターの研修で、よくお話しするのが、相手がイライラしている場合の対応についてです。

 理想的なものとして考えがちなのが、相手のペースに合わせないで、こちらは冷静に落ち着いて対応することです。

 でも、ここで、製品にトラブルがあり、自分が問い合わせをする立場になったとして考えてみてください。すぐにでもトラブルを解消して、その製品を使いたいのに、度をこすほどのゆっくりとした説明をされたら、どのような気分になるのでしょうか。「こちらの状況を汲んでほしい……」と、イライラが積もりませんか。

 ただ、コールセンター側からすると、相手に早口で話されると、行き違いが起きやすくなってしまうという事実も見逃せません。それは新たな火種になる可能性があります。

 では、どうすればよいかというと、相手が早口で話してきたのであれば、最初はこちらも同じくらいのペースで話します。

 それで、相手に合わせた会話のペースが整い、いわば息が合った状態ができたところで、今度はこちらから少しずつゆっくり話すようにしていきます。そうすると、今度は相手が自分のペースについてきてくれます。その理由は、一度、息が合った状態ができると、心地の良い関係となるから。その関係を壊したくないので、相手がこちらに引っ張られるように、ゆっくりになってくれるのです。

 話すスピードをコントロールする側の立場になると、話の主導権を握りやすくなります。これが息が合った状態を生み出すためのコツで、「合わせる呼吸」にも通じます。

 ちなみに、話の長い相手に対して早く会話を終わらせたいときには、わざとタイミングを外したあいづちを打つなどして、会話の速さを相手に合わせないようにします。ペースをずらすことで居心地の悪さを感じると、相手から会話を切り上げてくれます。

合わせる呼吸1

合わせる呼吸2

<続きは本書でお楽しみください。>