お尻がムズムズする純情ラブストーリーって!? 可憐なJKの悩ましい青春の行方は?

マンガ

公開日:2020/5/15

パサナダくんは私のお尻に住んでいます
『サナダくんは私のお尻に住んでいます』(えぴこ/徳間書店)

 マンガはもちろん、小説やドラマ、映画に舞台劇など、どれくらいの数の恋愛物語がこれまでに誕生してきたのだろうか? 無数に描かれてきた恋愛物語では、コメディでもシリアスものでも、主人公に必ずなにかしらの障害や試練が課され、その奮闘劇が見もののひとつだ。このハードルがあることでキャラクターへの思い入れが強くなり、作品はさらに盛り上がる。そんな巨大ジャンルである恋愛ものの枠に、新たに高校生男女が主人公の恋愛物語が誕生した。

 普通の恋愛物語であれば、主人公の奮闘姿に読者はギュッと手に力が入ることがあるだろうが、本作ではキュッとお尻に力が入ることだろう。なぜなら、主人公女子高生が奮闘するのは…“寄生虫との秘密の共生”だから。奇妙でいろいろともどかしい思いをするピュアな恋物語、えぴこ先生の『サナダくんは私のお尻に住んでいます』(徳間書店)を今回はご紹介!

主人公は清純な女子高生。でもお尻の中には…!?

 とても清純で恋には奥手な女子高生の奈美。ある日、彼女が通学のバス内で腹痛に見舞われていたところに、ひとりの乗客が手を差し伸べてくれた。それは、同じ学校に通う男子高校生の香椎先輩だ。やさしい彼との出会いをキッカケに奈美の恋愛ストーリーが始まる…のだが、彼女には誰にもいえない秘密があった。それは「寄生虫のサナダくん」を体内で潜ませて共生しているということ! はたして、奈美の秘密がにゅるっと漏れずに、甘酸っぱい恋愛生活を送れるのかどうか…。二重のドキドキを味わえる、“Wムズキュン”の新感覚ラブストーリーだ。

 簡単にあらすじを紹介したが、ピュアで穢れのない少女が寄生虫を体内に住まわせて生活しているとは、なんとも奇抜な設定だ! 一方、物語はとてつもなく清くて尊くて、読み手はきっとキュンキュンする。“アレ”の存在がなかったら、健康的で健全な青春が過ごせて、恋物語はもっとスムーズに進んでいたことだろう…。だが当の奈美本人は、サナダくんに不快感を示すような表情を一切見せないのである。むしろ、お互いを理解し支えあう“親友”のような関係なのだ。

 そんな寄生虫のサナダくんだが、気持ち悪さはお尻から伝う細なが~い線状のボディーくらいで、ひょこっと現れるお顔はとっても愛嬌たっぷり。さらに、物語の中では会話も成立している。ときには恋する奈美ちゃんの背中を押して応援してくれ、上手くいかなかったときは励ましてくれたりと、彼女にとってはなくてはならない最高の相棒だ。サナダくんのおかげで、恋に対する勇気を持って成長していく奈美ちゃんから、目をそらさずに温かく見守っていただきたい。心がほんわかすること必至!

 本作はとにかく恋物語としてのピュアみがハンパない!(※この紹介文を「キモ尊い」の文字で埋め尽くしたいほど!) 憧れの先輩との恋イベントが発動した瞬間の、緊張感で恥ずかしさMAXに到達するシーンには、読み手もきっとドキドキする。

 この1巻では、なぜ奈美ちゃんにサナダくんが寄生したのか、なぜ話せるのか、どうして仲良くなっちゃうのか――謎はまだ明かされていない。しかし、そのヒントになりそうな出来事が後半で展開される。これは奇跡なのか運命なのか…物語が大きく動きそうな2巻以降の展開に目が離せなくなりそうだ。


 ちなみに今回のPOPでは、囲み枠として相棒役の「サナダくん」に愛嬌たっぷりに登場してもらった。作品イメージ通りの“ピュアな恋物語”という雰囲気が上手く出せたと自負!(ドヤ顔)

 先輩との距離を縮めようと奮闘する奈美ちゃんの恋と秘密の青春ライフ。気になってムズムズしている方きっといることでしょう(いて欲しい…!)。フツーとはちょっと違う純愛物語をお求めの方は、ぜひ本書をお手に取り、みんなでキュンキュンしよう!

文・手書きPOP=はりまりょう