レジェンド級のカレー名店が続々! 女子大生が“カレー”に食べまくるキャンパスライフ

マンガ

公開日:2020/11/27

『今日もカレーですか?』(藤川よつ葉:原作、あづま笙子:作画/竹書房)
『今日もカレーですか?』(藤川よつ葉:原作、あづま笙子:作画/竹書房)

 さまざまな媒体で発表されている「好きな食べ物ランキング」。いつの時代も変わらず圧倒的支持を得ているメニューがある。刺激的な香りが食欲を誘うスーパー(イ)スターフード…カレーライスだ(※あまりウマくない「スパイス」と「スーパースター」かけ言葉、カレーはご飯にかけるとウマいのに…)。子どもだけでなく成人男性のランキングでも常にトップに入る支持の厚さ。ジャンル的には洋食ではあるが、日本の国民食といっても過言ではないだろう。私もカレーライスは大好物のひとつ。家ではもちろんのこと、給食で出た時のテンションは他のメニューに比べて計り知れかった思い出がある。

 このカレーなる料理の無敵の好感度、そして人によっては「飲み物」なんて呼んじゃうほど人を惹きつけ、まるで脳に「間違いなく美味い」とインプットされているかのようなカレーのふしぎな魅力。その魅力たっぷりのカレーという世界は、もっともっと広くて味わい深い。そんな世界を、藤川よつ葉先生によるカレー愛で溢れた原作に作画のあづま笙子先生が最高の描写で美味しく描く、『今日もカレーですか?』(竹書房)が案内してくれる。少し私の味付けですが、一緒に試食はいかがだろうか?

初めての東京で不安…主人公を救ってくれるのはカレーライス!?

 本作の主人公・黒部ちなは、この春から東京にある「加来井(からい)女子大学」へ通う女子大生。彼女は進学で初めて東京へ訪れた上京組。寮のある西葛西へ向かうために、まずは乗り換え駅の新宿に到着するが、たくさんの人が溢れる街の雑踏やダンジョンのように入り組んだ複雑な駅の構造に困惑…。そんな時に、ちなを空腹が襲う。一刻も早く目的地へ着きたいちなは、行き方を知る人を探していると、ちょうど年齢が近そうな女子を発見。その子へ声をかけた瞬間、ちなのお腹から空腹音が鳴り響く――。これがちなにとっての“運命の出会いの音”となる。

advertisement

 この音を聴いた彼女の名は、遠藤夏美。なんと偶然にもちなの目的地である寮と同じ地域の寮に住んでいるという。夏美はこれは何かの縁と感じ、ちなをランチへと誘う。これは、ちなにとって初の東京ランチ。オシャレで美味しい料理に期待していたちなが着いたお店は、「レストラン&カフェManna新宿中村屋」。入ると、早速いい匂いが店内に漂っている。それは、まさしくカレー。店員から受け取ったメニューにはたくさんのカレーの写真。そこからちなが気になるメニューをチョイスすると、隠れていた夏美のカレー愛が炸裂! これを機に、ちなにさまざまなカレーの知識や経験といった材料が美味しく注ぎ足され、刺激的で“カレー”なるキャンパスライフが始まるのだ。

 本作には、恋のロマンが隠し味の老舗“カリー”レストラン・新宿中村屋、インド人街にあるインドカレーハウスの雄・スパイスマジックカルカッタ本店、激辛カレーの元祖・カレーハウスボルツ、黒き有名オーナーのオーラが強い老舗洋食店・たいめいけんなど、カレー好きにとってレジェンド級の名店が続々登場し、ちなと夏美、さらに同学年女子や美人先輩らと一緒に、人気メニューからサイドメニューの楽しみ方まで、カレー満喫の幸せ顔で美味しく紹介してくれる。本作が描きだすカレーは、どれもとにかく食欲をそそるものばかり。ウマそう…いや、ウマい!(※脳が錯覚を起こしています)

 本作の舞台は東京なので、遠方の方はすぐ食べに行けないとガッカリするかもしれないが、ご安心を。全国展開されている人気カレーチェーン店・CoCo壱番屋回もあります! さらに「近所にCoCo壱なんてないよ!」なんて方も大丈夫。ちょっとひと手間加えるだけで、リッチな味わいに様変わりしちゃう、レトルトカレー回もあります! さらに、1話ごと原作者の藤川先生による、カレー愛に溢れた解説も丁寧に書かれていて、全ての読者がどこからでも楽しめるような構成となっているので、ぜひお腹をすかせながら読むことをオススメします。

 さて本稿を執筆していたら、本気でお腹すいてきた。今から食べるのはもちろんカレーライス。そして制作するのが次のPOP。あなたも本作を読めばきっと食べたくなる。もしくは走ってお店に食べに行っちゃうかも…?


文・手書きPOP=はりまりょう