旦那の家事のクオリティが低すぎる問題/ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。①

小説・エッセイ

公開日:2021/3/15

雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載の土屋礼央のお悩み相談エッセイ。結婚生活約8年の土屋礼央が、妻との関係、子どもとの関係を振り返り、お悩みを解決。
そこから見えてきたのは、家庭の中だけではない、人間関係を円滑に進めるヒントだった……! 本書から人気のエッセイを全3回でお届けします!

ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。
『ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。』(土屋礼央/KADOKAWA)

旦那の家事のクオリティが低すぎる問題

【お悩み】

旦那が家事をいくつかは担当してくれるんですが、クオリティが低すぎるんです。食器洗いとか終わった後の惨状を見ると、イライラします。これならば自分でやった方が良いと思ってしまいます。自分でやってしまった方が良いのでしょうか?(S氏 33歳女性)

 Sさん、ご相談ありがとうございます。最初に旦那様と男同士の会話をしても良いですか?(この本は何度か奥様方に途中退席をお願いします……)。僕も食器洗いを担当していて、任務完了後のんびりしていたら「あぁ!もうっ!」と独り言を言っている妻の声を何度か聞いた事があります。この独り言が重要でして、妻がどの部分に不満を持っているか?の情報がその独り言に集約されているので、その独り言を二度と言わせまいと心に誓い、次回からバージョンアップした食器洗いに挑む。この繰り返しをし続ける事で、いつしか妻の独り言は減り、最近はほとんど怒られる事なく食器洗いが出来ております!

 家の中は妻の国なのです。妻の法律ルールの下、生活が行われるのです。この考えを旦那さんが持てれば、全てが能動的に食器洗いも更新できます。そして法律は常に改善されていきます。最新の法律の下、行動しなければ、逮捕されますから我々国民の行動も一新しなくてはなりません。特に最初の方は見せしめ逮捕もありますので、最大限の注意を払ってください。

 この法こそが家族が円満に暮らしていける秩序なのです。

 お皿をしまう場所、印鑑・通帳をしまう場所等々、全てを妻に託している状態であるならば、もうそこは妻の国。

 でもおかげで快適に生活が出来てますよね。だから我々が働いてきた給料を妻に手渡すのは、納税だと思えば素直に手渡せます。いつも国を守ってくれてありがとうございます……。

 家での旦那は妻のカメラアシスタントであれ。もわかりやすいたとえです。カメアシの方はカメラマンを出し抜いて先回りしてはなりません。あくまでもカメラマンさんが思い描く通りの行動のサポートに徹する事が大事なのです。ケーブルさばきに徹しましょう。家事も同様と捉えております。ですから妻が使いやすいように家を構築していくのが自然な流れです。旦那もその構築の一員なのです。

 妻は次、何をしたいと思っているのか?

 その為に準備しておく事はないだろうか?

 仕事の新人時代・アシスタント時代を思い出します。仕事だといつかは上司になり、そういう時間も減ってくるかも知れませんが夫婦間では一生アシスタント生活です。昇進はありません。追い抜いたらダメなんです。妻にとっての最高のアシスタントを目指すのが人生の喜びの一つ。先ずはこの気持ちになる事がスタートですね。奥様お待たせしました。本題に戻りましょう。実は今回のSさんのお悩みについて妻にどう思うか聞いてみました。

土屋 礼央:つちや・れお●1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。RAG FAIRとして2001年にメジャーデビュー。11年よりソロプロジェクト TTREをスタート。RAG FAIR、 ズボンドズボン、TTRE楽曲の多くの作詞作曲を手掛ける。音楽活動以外にも、執筆やラジオなど多方面で活躍中。レギュラーに『赤江珠緒たまむすび』(TBSラジオ)など。