いっぱいのお味噌汁で幸せいっぱい! 歌舞伎町の定食屋で繰り広げられる人情物語『29時の朝ごはん』/マンガPOP横丁(101)

マンガ

公開日:2022/3/11

29時の朝ごはん
『29時の朝ごはん』(佐倉イサミ/KADOKAWA)

 日本の食卓には欠かせない、お味噌汁。わかめ、とうふ、長ねぎ、小松菜など、入っている具材は地域や家庭によってさまざま。ちなみに先ほどの4つの具材は、たまたま私がスーパーで見つけてハマっている即席味噌汁に入っている具材だ。そんなお味噌汁には飲んだ人の心を落ち着かせる不思議な力がある。例えば毎週原稿の締め切りが迫っているときでも、お味噌汁を飲むと一気にリラックスさせてくれて、原稿が進むこと進むこと! それに何度と救われたことか! 今回ご紹介する『29時の朝ごはん』(佐倉イサミ/KADOKAWA)は、そんなお味噌汁でお客さんの心の癒す小さな定食屋を舞台にした人情物語だ。


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歌舞伎町の小さな定食屋に来るお客さんは…

 欲望渦巻く日本一の夜の街、歌舞伎町。その片隅で朝限定の小さな定食屋「あさげ」が、今日も朝5時から営業していた。メニューは、丁寧に出汁から取った日替わりのお味噌汁と、炊きたてごはんで握ったおにぎりのセットのみ。そんなお店を若姉妹のアリスとうららの2人で営んでいた。お客さんは、いい匂いに誘われてやってきた新人ホストや、オフモード全開の常連キャバ嬢、飲み会でハメを外しすぎた大学生など、ちょっと濃いめの人たち。今朝もお味噌汁でいろんなお客さんの疲れた心を癒し、思わず素顔もさらしちゃったりもする人情物語である。

レシピ付きで、まさに「読むお味噌汁」!

 お店の看板メニューであるお味噌汁をこしらえるのは姉のアリス。どのお味噌汁も具だくさんで美味しそうなものばかり! 中にはイカ墨を使った変わり種も。さらに分量や材料などレシピが紹介されているので、気になったら自分で作ることも可能だ。そんな日替わりで出される絶品のお味噌汁を食べにくるお客さんのエピソードもまさに具だくさん! 特にアリスに胃袋を掴まれちゃった男の恋模様は、まさにお味噌汁を飲んだかのように心がほっこり。さらに物語の主人公であるアリスとうららの私生活や親交の深いママとのエピソードなど、ただ単に姉妹が歌舞伎町で店を開いているということではなさそうな場面もあり、歌舞伎町住民たちのドラマとしても楽しめる作品でもあるのだ。

 具だくさんなエピソードに読み終わって心温まる……。これはまさに「読むお味噌汁」。お味噌汁が大好きな方はもちろん、最近お味噌汁から遠ざかっている方はぜひ味わってほっこりしていただきたい。

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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