少年と可憐なロボット少女の、甘く、切なく、もどかしい心の成長物語『ココロのプログラム』/マンガPOP横丁(100)

マンガ

公開日:2022/3/4

ココロのプログラム
『ココロのプログラム』(中村ひなた/集英社)

 はじめに……

 祝・マンガPOP横丁連載100回!

 これから春に向けて動植物が動き始める3月初旬。当連載がお先に花を1つ咲かせました。ついに100枚目です! 過去に2万枚書いてきたとプロフィールにありますが、このコーナーで書いてきたPOPはいろいろと規模が違いました。よってスキルの数値は激しく上がっています。ここまで続いたのも読者のみなさまがここへ立ち寄って下さり、SNSなどでたくさん反応して下さった結果です。これからも誰もが楽しめる素敵なマンガ作品のPOPを心こめて制作してまいりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 めざせ1000回!いいかげんにせんかい!(これからもこのクオリティでガンバリマス!)

 ということで記念すべき100回目にご紹介するのは、父親を亡くした少年とロボット少女との「心」の成長と甘酸っぱい物語『ココロのプログラム』(中村ひなた/集英社)です。


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ロボット少女を迎えた家族の新しい生活がスタート

 ある夏の日、男子小学生の宇佐美九は早く帰りたくてソワソワしていた。その様子を見ていた幼なじみの少女・愛が理由を聞くと、家族になる1体のロボットが来る日なのだとか。どんなロボットかは来るまで分からないため愛もワクワクする。放課後、急いで九の家へ向かうと玄関で待っていたのは、人間にしか見えない可憐な少女のロボットだった。名前は“いちこ”。“心”の部分が未完成のため、家族となって人間と交流することで心の学習をしていきながら家事などをサポートするという、ひとり親の家庭が対象の制度によってやってきたのだ。しかし少女のロボットであることに九はつまらなさを感じていた。それは、亡き父の穴埋めになると期待していたからだった。そんななかで始まった生活で、いちこは失敗の連続! それでも彼女は家族のために一生懸命働いた。ある日、九といちこのすれ違いにより起きた事件をきっかけに、九の彼女に対する意識が変わる。そしていちこが九と愛が通う小学校に入学したことで、愛は九の変化を感じ取った。なぜなら愛は……。ロボット少女の成長を通じて少年少女の心が大きく変化していく――。

もうひとつの注目ポイントは幼なじみ少女の心情

 いちこと九の心の成長はもちろんだが、なんといっても幼なじみ・愛の心の内にも注目だ。いつも一緒だった九の視線がいちこに向けられるようになり、寂しさを感じながらもその思いを諦めきれない。もうこれが甘くて切なくてもどかしい! 特に修学旅行の話では、「ドキドキ」あり、「はわわ」ありと読み手の気持ちを非常に揺さぶってくるのだ。ちなみに愛が学校でピンチに陥ったときに九がフォローに入る場面は、読者も愛のように惚れちゃうかもしれない! そして1巻を読み終えるときっと誰もが思うはず。「続きが早く読みたい!」と。

 最後に、読み手の心がたくさん揺さぶられちゃうもうひとつの要因は、なんといっても美麗な絵。豊かな表情と演技、そして背景……その素晴らしさに見入っちゃうはずです。100回記念に関係なく、すべての人に読んでほしい素敵な物語。自信をもって太鼓判を押させていただきます!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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