心を引っ搔く、忘れられないミステリ。「イヤミス小説5選」

文芸・カルチャー

公開日:2024/3/16

「怖いもの見たさ」を言い換えた、「まずいもの食べたさ」「危ないとこ行きたさ」「怪しいもの買いたさ」なんて言葉がもしあるのなら、「イヤなもの読みたさ」という気持ちもあるのでしょうか。
読むと「イヤ」な気持ちになるミステリ=「イヤミス」(意味は諸説あり)。謎が解けたときの快感も、人間ドラマの感動もあるけれど、それ以上に胸に残る、もやもや、ざわざわ、ざらざら。心を引っ掻く、忘れられないミステリ。
幸せなラストなんて保証されていない、だのに好奇心に引きずりまわされて、ページをめくっては、「あぁ、さっきのところでやめればよかったのに!」なんて何度も自分を叱りつつ、結局最後の一文にたどり着いてしまう。自分の愚かさにあきれながら本を閉じて、それなのに「すごい体験をした」とほくほくしている。
なんだか悪いことに巻き込むような気持ちで、だけど全力でオススメしたい、5つのイヤミス小説です。

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好奇心には逆らえない。おすすめの「イヤミス小説5選」

湊かなえ『人間標本』(KADOKAWA刊)

人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな

蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322306000662/
特設サイトはこちら ⇒ https://kadobun.jp/special/minato-kanae/ningen-hyouhon/
インタビューはこちら ⇒ https://kadobun.jp/feature/interview/entry-82507.html

芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文春文庫刊)

もうやめて……ミステリはここまで進化した!

第164回直木賞候補作。

ひたひたと忍び寄る恐怖
ぬるりと変容する日常

話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。

閉鎖空間に監禁された
デスゲームの参加者のような切迫感。
                ──彩瀬まる

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……
きっかけはほんの些細な秘密だった。

保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。

凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。

(あらすじ:文藝春秋オフィシャルHPより引用)

秋吉理香子『殺める女神の島』(KADOKAWA刊)

全員、悪女。この中で最も嘘つきな殺人犯は誰?

リゾートアイランドに集められた、外見と内面の美を競い合うコンテストの最終候補者。メンバーは女子高生モデル、経営者、小説家、医師、シェフ、インフルエンサー、大学院生の七人。これから二週間、互いを知りながら、高め合いながら、助け合いながら、最終選考の準備を行う。その日々を見守ってグランプリを決めるはずだった主催者が、二日目の朝、瀕死で見つかった。次々と殺人が起きるなか、巧妙に隠された参加者たちの「嘘」も明らかになっていく――。この中で、一番嘘つきの殺人鬼は誰? 最高に後味の悪いイヤミス長編!

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322308001041/
インタビューはこちら ⇒ https://kadobun.jp/feature/interview/entry-88087.html

貫井徳郎『愚行録』(創元推理文庫刊)

格差社会の醜さを描いた、ゆるぎない傑作!

ええ、はい。あの事件のことでしょ?――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家4人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第3の衝撃! 解説=大矢博子

(あらすじ:東京創元社オフィシャルHPより引用)

真梨幸子『殺人鬼フジコの衝動』(徳間文庫刊)

最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する!

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生はいつしか狂い始めた。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか? あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。

(あらすじ:BOOK☆WALKERより引用)

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