KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

作家
河合香織
出版社
岩波書店
発売日
2021-04-08
ISBN
9784000614665
amazonで購入する Kindle版を購入する

「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」のおすすめレビュー

新型コロナウイルス対策の「専門家会議」とは何だったのか? 政府と専門家の主張が異なるワケ

『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織/岩波書店)

 5月14日、政府は「まん延防止等重点措置」を群馬、石川、岡山、広島、熊本の5県に新たに適用する当初の案を方針転換し、北海道、岡山、広島の3道県に緊急事態宣言を出すことを決定した。そしてこの政府の方針転換は新聞の一面になるほどの大きなニュースとなった。

 政府の案が一変したことがなぜこれほどまでにニュースになったのか。『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織/岩波書店)を読むことで、専門家が“画期的”とまで呼んだ今回の政府の方針転換の背景がわかってくる。

 本書は、新型コロナウイルスの対策において密閉・密集・密接の三密回避や、クラスター対策といった政府の初期対応へ、医学的な見地から“助言”を行ってきた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下:専門家会議)の5か月を振り返る。

 タイトルとなった“分水嶺”という言葉は、降った雨が山の尾根のどちらか一方に川となって流れるその境界のことで、一度川になった雨水は決して別の流れに戻れないことを指す。

 その分水嶺となったのが、…

2021/6/11

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」の関連記事

「専門家会議」とは何だったのか? 事実は小説よりも奇なり。注目のノンフィクション本3選

 11月10日、全国の書店員が選ぶ「Yahoo!ニュース 本屋大賞 2021年 ノンフィクション本大賞」が発表される。

 ノミネートされた6作品は個性豊か。コロナ禍で中止になった甲子園をめぐる選手と監督の思いに迫る『あの夏の正解』(早見和真/新潮社)、沖縄の人々の想いを、研究者として母として記録した『海をあげる』(上間陽子/筑摩書房)、「グリコ森永事件」犯人グループの姿が浮かび上がる『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(岩瀬達哉/講談社)、福島のしいたけ農家出身の著者が故郷と向き合う『ゼロエフ』(古川日出男/講談社)、両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家の生き様『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(河野啓/集英社)、コロナ対策の舞台裏を詳らかにする『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』(河合香織/岩波書店)…。

 2020年は『エンド・オブ・ライフ』(佐々涼子/集英社インターナショナル)が受賞し、話題を読んだ「ノンフィクション大賞」だが、毎年ノミネート作は、どの作品が受賞してもおかしくはない名作が勢揃いな…

2021/11/4

全文を読む

関連記事をもっと見る

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

河合 香織、2作目です。2021年本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネート作ということで読みました(既読5/6)わずか1年前の出来事ですが、もう少し前のイメージです。今でもそうですが、未知の新型コロナウィルスとの闘いの中で、何とか頑張ったということなんでしょうね。日本も世界もコロナを必要以上に恐れ、あたふたしているような気がします。 https://www.iwanami.co.jp/book/b570570.html

2021/12/23

ろくせい@やまもとかねよし

20年2月1日新型コロナウイルス感染症を指定感染症に指定し、厚労省に設置したボード。すぐ内閣官房の専門家会議へ。このメンバーに対する取材で、当時の施策決定を振り返る。著者の考察は、事実を伝える責任を大切にする行政と事実をありのまま伝えるべきとする専門家の対立。未曾有な非常、有事と捉え粉骨砕身する関係者の取り組みを知る貴重な記録。混乱の要因は、非常時行政に対する法的整備の不備か。社会制限する権限とその責任の所在が不明なため微妙な政局に。ただ「前のめりだったと認めたほうがいい」との尾身さんが副座長でよかった。

2021/12/05

trazom

助言者に過ぎないコロナ対策専門家会議が、自ら見解や状況分析・提言を発信することに多くの批判が寄せられた。「無謬性の原則」に拘る官僚には、データや政策決定の根拠をオープンにするよう迫る学者たちが目障りなんだろう。しかし、「前のめり」との批判を恐れず、発信すると決断し、尾身先生たちは分水嶺を超えた。「いざ大事な時には、言うべきことを言うことが公衆衛生で最も大切だ」との信念は揺るがない。「座右の銘は」と問われ、尾身先生は「コヘレトの言葉」の一節を挙げる。それを知って、この人がどれだけ深い思索の人物かがわかった。

2021/06/14

honyomuhito

意識しないようにしていたがここ一年程ずっと腹を立てていた。結局今になって押し殺しきれなかった怒りに振り回され、わしゃどこの王蟲やというくらい我を忘れて怒って本質を見失いそうになったりしている。原点に立ち返る意味で今こそ読むのにふさわしい本だった。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の発足から廃止までの約5ヶ月間を振り返るノンフィクションである。本を読み終わっても腹の立つことはまだ多い。多いのだが少しだけ気持ちの持っていき場所について考える余裕が出来た。途中経過での振り返りも大切だと確認した読書であった。

2021/07/12

てつのすけ

新型コロナウイルスは、未知のウイルスであり、誰も、何が正解かを知ることができないにもかかわらず、批判を受けておられたことを知らなかった。専門家の方々には、批判を跳ね返して、これからの活動に尽力していただきたい。

2022/08/21

感想・レビューをもっと見る