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彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない

作家
浅原ナオト
新井 陽次郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2018-02-21
ISBN
9784040725130
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「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のおすすめレビュー

欲しいのは「あたりまえの幸せ」―― 『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』が描く青春小説の最前線

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト/KADOKAWA)

 高校生のジュンこと安藤純(あんどうじゅん)はクラスメイトの三浦紗枝(みうらさえ)が書店で、男性同士の恋愛をテーマとしたいわゆるBL本を購入しているところに遭遇する。三浦さんは腐女子で、そのことを秘密にしていた。一方、ジュンには同性の恋人がいる。彼もまた同性愛者であることを隠して生きていた。

 その後、ふたりの男女は急接近。ジュンは女性に関心がないにもかかわらず、三浦さんの好意に応える形で恋人になる。ジュンは自分がゲイであることは認めているものの、異性とセックスし、家庭を築くという、世間一般で「ふつう」と言われる幸せに憧れていたからだ。しかし、ふたりの関係とジュンの未来には困難が待ちうけていた……。

 浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(KADOKAWA)は胸がひりつくような、瑞々しい青春小説だ。タイトルを見ただけで怯む人もいるかもしれないが、腐女子は男性同士のカップリングを「ホモ」という言葉で呼ぶことが多い。ヒロインの三浦さんも例外ではないため、この…

2018/2/20

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話題のNHKよるドラ「腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。」原作。 同性愛者であることを隠して日々を過ごす男子高校生は、同級生のある女子が“腐女子”であることを知り、急接近する。思い描く「普通の幸せ」と自分の本当にほしいものとのギャップに対峙する若者たちはやがて――。

『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト/KADOKAWA)

■第8回 ひょんなことから腐女子だらけのイベントに…!

 僕が三浦さんに協力すると決めた理由は、三つある。

 一つは、土曜日暇だったから。もう一つは、単純に興味があったから。そして最後の一つは、自分を偽って生きる三浦さんが本当の姿を曝け出して伝えた頼みを断れなかったから。関係ないと分かっていても切り捨てるのは、さすがに冷たい。

 当日は池袋の東口に集合だった。僕が到着した時、待ち合わせ場所には既にギンガムチェックのワンピースを着た三浦さんがいた。そして三浦さんだけではなく、キュロットスカートを穿いた長髪の女性と、Tシャツジーパンの茶髪男性もいた。

 僕はまず、女性に挨拶をした。

「初めまして。三浦さんのクラスメイトの…

2019/8/8

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腐女子バレとホモバレはどっちがしんどい…? /『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』⑦

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『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(浅原ナオト/KADOKAWA)

■第7回 腐女子バレとホモバレはどっちがしんどい…?

 僕は帰宅部だ。特殊な事情がない限り放課後は空いている。僕は、放課後に駅前のマクドナルドで三浦さんと話をするという申し出を、素直に受け入れることにした。

 三浦さんが掃除当番だったので、僕だけが先にマクドナルドに向かった。ポテトとシェイクを頼んで二階に上がり、二人がけの座席に腰かける。愛用の携帯音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを耳に挿して、アーティスト『QUEEN』指定でシャッフル再生を開始。アイスコーヒーを持った三浦さんが現れた時、イヤホンからは『キラー・クイーン』が流れていた。男殺しの女王様。三浦さんが?

「ごめんね。どうしても、話したいことがあって」

 …

2019/8/7

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彼女が好きなものはホモであって僕ではない / 感想・レビュー

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黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)

〝僕は、全てが欲しい。男に抱かれて悦びたい。女を抱いて子を生したい。誰かの息子として甘えたい。自分の子供を甘やかしたい(純)〟純×三浦♡ 同性愛者であることを隠す少年と腐女子の少女が織り成す物語。なんとゆーか、もういっぱいいっぱい。スラスラ読めるところもあれば、いきなりガツンと頭を殴られたようにページを捲るのが遅くなり、さらには純や三浦、登場人物たちの気持ちが痛いくらいに伝わってきて大洪水。帯にある通り、ストーリーに〝圧倒〟された。こんなに苦しく、切ないのに愛しいと思えてしまう。いろんな方に読んで欲しい。

2018/03/11

よつば🍀

NHKで放送された『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』の原作本。ドラマの方を先に見たが改めて本作を読むと、ドラマが原作に沿って忠実に丁寧に描かれていた事に感動する。中年男性のパートナーがいる同性愛者の男子高校生・安藤純が主人公。男性を愛する純だが異性を愛し、子を成し、家庭を築きたい気持ちもある。読みながら「普通」の意味をずっと考えさせられる。100%同じ人間なんて存在しないし、他人から見れば些細な事でも当人にとっては凄く大きな問題だったりする。自分と異なる「普通」だってそれを受け入れる自分で有りたい。

2019/10/05

菅原孝標女@ナイスありがとうございます

タイトルに惹かれて。笑 映像化もしているらしい。解説でこれは「青春小説」だと言われていたけど、たしかに、読み終わってみるとただの青春小説だったなと。自分の人生だから当たり前なんだけど、それでも自分の生き様に命をかける彼らはどうしようもなく儚くて美しいと思った。世界は変わっては来ているけれど、もっと彼らにとって生きやすい世界になればいいなと思った。

2022/01/18

あも

ポップな表紙もキャッチーなタイトルでも覆い隠せないヘビーで真摯な小説。ぼくは高校生。そしてホモだ。既婚の恋人に会いに行く途中、同級生の三浦さんがBL本を買うのを目撃する。"普通に"結婚して子を成し、母を安心させたい。"普通の"家族が欲しい。自分を気持ち悪く思いたくない。だけど、どうしても、どうしても…。擦れ違い、友情、切なさ。自身の中で枯れかけた青春を彩るあれこれが、この物語を通じて色濃さを甦らせる。終盤何度も何度も泣かされた。どんな立場の人にも読んで欲しいと思う。作中に鳴るQUEENの楽曲を聴きながら。

2019/03/01

aquamarine

腐女子であることを偶然知った同級生と急接近する同性愛者の男子高校生・純。彼は自分がマイノリティであることを悩み、何よりも「ふつう」であることを望みます。LGBTについて知っている「つもり」理解している「つもり」が読んでいてとても痛いです。誰だって、自分と違うものや得体のしれないものは怖いのです。どこもかしこもノーマルで他人と違う場所がない人なんていないのに。現実はそんなに綺麗じゃないかもしれない。でもただの青春小説ではない、たくさんのものが詰まった素晴らしい一冊でした。ぜひ彼の選んだ道を見届けてください。

2019/03/27

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