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彼女はそこにいる

彼女はそこにいる

彼女はそこにいる

作家
織守きょうや
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-06-30
ISBN
9784041134511
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「彼女はそこにいる」のおすすめレビュー

怪異あり、ヒト怖あり、どんでん返しあり…1冊で3度、異なる恐怖が襲ってくる「いわくつきの家」ホラーミステリー

『彼女はそこにいる』(織守きょうや/KADOKAWA)

 世の中には、「人が居つかない家」というものが存在する。日当たりが悪くてカビが生えやすいとか、騒音を出す迷惑なご近所さんがいるとか、納得できる理由がある場合がほとんどだが、中には、はたからすると、どういう理由か判然としないことも少なくはない。「誰かの気配を感じる」「なんとなく居心地が悪い」——他人には説明しがたい怪奇現象に悩まされ、転居を決意したという人もいるのかもしれない。

 そんな「いわくつきの家」を舞台にした物語が、『彼女はそこにいる』(織守きょうや/KADOKAWA)だ。著者の織守きょうや氏といえば、切ない青春ホラー「記憶屋」シリーズのほか、第5回未来屋小説大賞を受賞した『花束は毒』などのミステリーでも知られる。本作は、そんな織守氏がはじめて挑戦する、ホラーミステリー。怪現象が相次ぐ一軒家の謎が、3人の関係者の視点によって炙り出されていく。

 たとえば、第1話の主人公は中学生の茜里。シングルマザーの母親とともに築40年の庭付きの一軒家へ引っ越してきた彼女は、しっかり者の姉として妹・春歌の面…

2023/6/30

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彼女はそこにいる / 感想・レビュー

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パトラッシュ

目に見えない霊よりも、現実に生きている人の恐ろしさが迫ってくる。入居者の居つかない一軒家を巡り、母子家庭の少女や不動産業者、近所の住人に怪奇マニアらが理由を探っていく。いないはずの女性が見えるという共通項で展開する物語はホラーテイストだが、第1話では超自然な恐怖は感じられず、オーソドックスな怪奇の館物に比べ微妙な違和感が漂ってくる。第2話で人の手が入っていたのが見えてきて、最終話に至って「館に魅せられた人の狂気」が明らかになる。人は誰も心に闇を抱えるが、他言できない秘密に支配された闇こそ最大の恐怖なのだ。

2023/08/30

ちょろこ

ミソはそこ⁇の一冊。居るの?居ないの?どっちなの⁇ストーリー展開からある程度の予想はつきやすいけれど、ぞくッと感もそれなりに盛り込まれていたホラーミステリだったかな。一話目から三話目まで順序よくリードされる構成。一話目は怪異てんこ盛りで震えさせながらの、違和感が導く案の定と残る怪異のモヤモヤ。二話目はそのモヤモヤがテキパキと処理されていく感じ。そして三話目へ。滑らかな導きがもたらした真相に理解不能、身勝手さを感じたところに突然それは来た。このストーリーのミソはそこ⁇そこだったのか。これ、一番嫌なパターン。

2023/08/09

タイ子

3つの連作短編集。織守作品なのでもっとホラーミステリなのかと思ったら意外に軽い作品でした。予想通りに進展しながら、少し予想外の方向に寄り道したり・・・。一軒の家で起こる不思議な現象。そのためなのか、借主が次々に変わっていく。電波が途切れるようになったり、家族以外の髪の毛が落ちていたり、花壇が人の顔ように色が変わっていたり。最初の人形の話はホラーっぽくてゾワリとする。最終章で分かってくる身勝手極まりない事実にゾッとするよりムカッとする。こんな人間心理が幽霊より余程怖いわ。

2023/08/06

まちゃ

「人が居つかない家」に纏わるホラーミステリ。暑さを忘れさせてくれるような読後感を期待しましたが、そこまでではありませんでした。第1話はホラーテイストでしたが、それ以降は第1話の怪異の謎解き。何かに執着する人間が一番怖い。

2023/07/23

yukaring

ある一軒家で続く怪現象。"その家"に関わる人々の目線から語られる事実が繋がった時に浮かびあがる衝撃の真相。さすが織守さんらしい一筋縄でいかないホラーミステリ。新しい家に引っ越した母娘。しかし家の中で見つかる髪の毛、勝手につくTV、花壇の顔の形のしみ、何度捨てても戻ってくる人形の謎『あの子はついてない』曰くつきの物件を探すフリーライターに"その家"を紹介させられた不動産屋の不思議な体験『その家にはなにもない』"その家"の新たな住人が驚きの真相を語る『そこにはいない』など静かにゾクッとさせられる物語だった。

2023/07/25

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