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乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび

乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび

乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび

作家
芦辺拓
江戸川乱歩
出版社
KADOKAWA
発売日
2024-01-31
ISBN
9784041146354
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乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび / 感想・レビュー

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starbro

江戸川乱歩の没年に生を受けた(決して生まれ変わりではありませんが)からかどうかは解りませんが、50年程前に少年探偵団シリーズを読んでから、読書好きとなりました。江戸川乱歩は私にとって特別の作家です。乱歩の未完の「悪霊」を完結させている作品ということで読みました。芦辺 拓、2作目です。乱歩を引き継いで、乱歩らしく完結させるのかと思っていたので、少し残念な作品となりました。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322310000776/

2024/02/18

パトラッシュ

未完作品を他の作家が書き継ぐのは珍しくないが、書き終わった部分から続けるのが基本だ。芦辺さんは乱歩の『悪霊』が中絶せざるを得なかった理由まで取り込んで、完成作品に仕上げてみせた。実在の人物が歴史の謎に巻き込まれるとはよくある手法ながら、日本推理文壇の鼻祖である乱歩が書けなくなってしまう理由まで納得させる力技を見せつける。語り手が何度も変わったり、原作と合作部分が入り混じるなど読みにくさも残るが、執筆時の乱歩の文体や伝記的事実とを重ね合わせることで不自然さを消している。大先輩に対する最高のオマージュだろう。

2024/04/20

ちょろこ

感嘆の一冊。江戸川乱歩が連載三回で放置した「悪霊」を芦辺さんが想像を膨らませ創造した作品。どう完成させるのか、高まる期待とワクワク感はまさに新連載に心躍らせた昭和八年当時の読者に心重なるよう。時代を感じながら始まるあまりにも血生臭い不可解な犯罪事件。ぷつりと途絶えたその先にあるものにページを捲る手が進む。迷宮に迷い込むような感覚、きちんと乱歩の心を写しとるような組み立て方はもちろん、紙切れの考察から放置の理由までの繋げ方は感嘆の吐息。まるで血を通わせられ肉付けされ眠りから甦ったかのような令和の悪霊に拍手。

2024/03/21

yukaring

たった3回の連載で中絶した乱歩の未完の傑作『悪霊』この伝説の物語を芦辺さんが書き継ぐユニークな企画。乱歩が紡ぎだした妖しく耽美な世界観はそのままに土蔵での密室殺人、不思議な記号や異様な血痕などの謎を全て解き明かし、更なる仕掛けを施した見事なクオリティ。乱歩の元に持ち込まれた手記に書かれていたのは現実にあった事件を彷彿させる血なまぐさい殺人の記録。好事家が集まる心霊学会で霊媒が予言した美しき未亡人の死。彼女の死から始まる連続殺人と不可解な謎、ちりばめられた魅力的なモチーフを芦辺さん流にまとめあげた意欲作。

2024/02/27

オフィーリア

乱歩伝の中絶作『悪霊』を作者独自の解釈でその先を構築し、“何故『悪霊』が中絶したのか”までメタ構造を含みながら描ききった意欲作。日本推理小説における巨匠の未完の作品を現代のミステリ作家が後を継ぎ完成させる。ロマンだよね…。

2024/02/24

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