泣かない子供 (角川文庫)
ジャンル
泣かない子供 (角川文庫) / 感想・レビュー
オリーブ子
再読、エッセイ。96年の出版だからだいぶ昔。5章に分かれて、数行〜数ページのたくさんの文章。読んだはずなのに、『月の砂漠のツアーバス』以外は覚えていなかった。だから、新鮮。テーマは旅や家族や、読書や、食べ物や、江國さんの好きなものが、いろいろ。あとがきの俵万智さんも書いているけど、散文的な手紙の下書きといった感じ。江國さんと親しい友だちにでもなった気分になれた。香織のトコは妹がいて、しかも今だに仲が良くていいわよね〜、なんて感じで。
2016/02/05
優希
鋭い感性で美しい日常が語られていると思いました。記憶や季節への眼差しの優しさとあやふやさは、丁寧に日々を過ごして繊細な目で色々な物事を見ているからなのでしょう。センスが凄く優れているからこそこだわりの時間を柔らかく過ごしているような気がしました。心に沁み入るような日々。江國さんのエッセイを読むと豊かな気持ちになれます。
2015/03/21
エドワード
これは徒然草ですね。心に移りゆくよしなし事。月の砂漠のツアーバス。夜の散歩。ラーメン屋。脂とり紙。江國家の人々はとても魅力的。お父さんがホントにいいね。「アンドリさんいくか?」昔から馴染んできたお菓子屋さんが突然なくなることほど悲しいことはない。それにしても江國さんの読む本は知らない本それも外国の本が多いな。さすがだな。花を愛し庭を愛するイギリス人、魔法の城アルハンブラの紀行文には得も言われぬ共感。私も無駄なものばかり多い銀座の街が大好きです。「愛すること」についてのラルフへの手紙は最高だった。
2014/10/09
ann
特に Ⅰ 章。そして特に「ラルフへ」、「世のなかの、善いもの、美しいもの」。この2篇はページを破いて食べてしまいたいくらい、好き。胸の奥で燻っている「熾」を、素直に言葉で紡ぐとこんな文章になるんだ。世のなかの、善くないものも美しくないものもたくさん知ってる。私も。きっと江國さんも。
2023/01/19
まひと
初めての江國さんエッセイ。小説を通して感じる江國さんとぴったり重なる、やっぱり江國さん好きだなと思える一冊でした。とくに『ラルフへ』が印象的で、どうしようもなく切なく淋しくなった。「私は私のやり方でしか人を好きになれないのですけれど。だって、人を好きになるというシンプルな感情を分類して、不倫とか遊びとか本気とかいちいち名前をつけるなんていうこと、どうしたってナンセンスでしょう?」『読書日記』では読みたい本が増えました。また、そこかしこに小説に繋がる事柄があり、たまらなく嬉しくなった。エッセイって面白い。
2014/07/05
感想・レビューをもっと見る