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冥の水底

冥の水底

冥の水底

作家
朱川湊人
出版社
講談社
発売日
2014-10-29
ISBN
9784062191432
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冥の水底 / 感想・レビュー

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kishikan

怪奇な話なんだけど、もの悲しくて切なくて胸が締め付けられる。物語は、昭和の終わりと平成という時代の相違はあるが、「マガチ」と呼ばれる半人間と非常勤の医師の二人の視点で書かれ、読み進めるとそれが一つに収斂していく絶妙な構成になっている。マガチという特殊な能力を持つ故に人里から距離を置く生活を営む者達と人間社会の歪みの問題を「純愛」と「家族の絆」で掘り下げた衝撃作。亡北森鴻さんや東野圭吾さん、奥田英朗さんを彷彿させ、読後はやはり朱川さんだなぁと思わせる、ファンにはたまらない作品。彼の代表作になるだろうなあ。

2015/09/28

まこみん

純愛ホラーとあるけど、怖さより愛しく哀しい一途な愛の物語。 一般人と違った秘めた力を持つマガチ族のシズク。彼の初恋の彼女への拙くも純朴な心情を綴った手紙が昭和55年春から始まり、一方で現代では狼男の様な死体の写った写真を見せた光恵が姿を消し、さらに愛する義息子も行方不明になった医師の市原が、事件と謎に捲き込まれていく。シズクの心の純粋さ故に、彼の身に起こる不測事、思惑とは違った人生、絶望と哀しみの中にも彼女への愛は変わらず…美しく哀しい雪。ラストは胸熱く涙が込み上げてきた。マガチの続編、是非希望します。

2016/07/23

けい

2段組474頁のボリューム、一人の不思議で不幸で幸福で崇高で、どこか哀しくも美しい人生を描くには必要だったのだろう。主人公のシズクの独白(手紙)と彼等の秘密に関わりを持ってしまった医師、市原が謎を追っていく様とを交互に入れながら綴られる物語。男女、親子、兄弟間の愛情、人の愛情の裏表を複雑に絡め合いながら、全ての要素を併せ持つ人の多様な感情を写しこんでいきます。どの登場人物が一番人たりえたのか?登場人物、各人に自分を置き換えながら、深く考えさせられた作品でした。

2015/01/22

myunclek

ファンタジーは苦手なんだけど、この一途な愛の結末がどうなるのか、読む手が止まらなかった。妖怪だろうが、化物と呼ばれようが怖いのはよっぽど人間の方だね。被差別の象徴として登場した山の民。本当の幸せって、物じゃ無く心静かに暮らせる環境だよな。普通だと思っている醜さこそ、哀しい人間の性だな。

2015/12/04

みかん🍊

山の気を体に取り入れ狼男の様に人間以外の物に変身する能力を持った東北の山奥に暮らすマガチの人々、そこから初恋の人を追いかけ都会へ出てきたシズク の悲しく切ない物語です。現在と昭和を交差させながら進んでいく物語は474P二段組みの長編ながら先が気になりページが進みました、特殊な能力を持つが故に辛い思いをしてきたシャバの人々は今生は失敗したものだと思えとあきらめて夢を持たず静かに今世を終えるのを待つ、初恋の人だけが希望の一途なシズクが間違った方向へ流されて行ってしまうのが、悔しく残念です。

2014/11/28

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