浜の甚兵衛
浜の甚兵衛 / 感想・レビュー
いつでも母さん
昨日まで確かに存在していたはずの村が、人々もろとも一夜にして消滅していた・・場所は三陸・仙河海。そうだ、津波が押し寄せたのだ。甚兵衛は沖にいて被災はしなかったのだが、そこからこの物語は始まる。妾の子だったが時代を生き抜く才があったのだろう。徴兵にも就き、そしてまた一旗あげるのだが・・人間味溢れる甚兵衛の視点から、人の持つ妬み・弱さ・強かさを読む。貧しさは辛いなぁ。金に踊るのは今の世も変わらないのが、ちょっと虚しく感じた。故郷を追われるように新天地へ向かう姿が私には切なかった。
2016/12/06
ゆみねこ
三陸の港町・仙河海に生まれ、明治・大正・昭和を生きた菅原甚兵衛。自らの才覚で財を成しても、人が向ける嫉妬の感情にやりきれなさを感じて生きる。読んだタイミングが悪かったのか、今一つ夢中になれなかったのが残念。機会があればいつか再読するかも?
2017/02/28
のぶ
海に生きた男、菅原甚兵衛という人物の半生を描いた話。明治後期に三陸大津波が町を襲う。沖の漁船に直接出て行って買い付ける、沖買人をしていた甚兵衛は生活の場を求め、北洋でのラッコ・オットセイ漁に活路を求める、博打のような決断を下す。物語としては面白く読んだが、甚兵衛は禁漁で後半陸に上がってしまい、海の男をとことん味わいたかった自分としては、それが消化不良として残り、人物造形にやや不満が残った。否定的な表現になったが、小説としては決してつまらない作品ではないと思う。
2017/01/03
baba
邂逅の森が印象に残った熊谷さんの本、今回も読みでがありました。複雑な家庭環境であり、心に鬱積を抱えながらも仲間と海に出る甚兵衛を持ったいたのは、津波被害の無残な姿。それからの彼の生き様が金銭で解決できないことが人には重要と考えに至る。甚兵衛の妻がなかなか良い。残り少ないページで最後に故郷を離れることになった顛末は辛い、その後の彼はどうなったのか?
2017/01/15
百太
3月が近づき、今年は熊谷達也の仙河海( 架空の町。ほぼ気仙沼市) シリーズをまとめて読むことにしました。 本作は、明治三陸津波から始まる豪快な海の男の半生です。いや~面白かったです。
2018/02/22
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