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真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)

真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)

真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)

作家
江國香織
出版社
講談社
発売日
2013-02-15
ISBN
9784062774727
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真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

中年のアメリカ人教師、ジョーンズさんと若き人妻の美弥子さんとの不倫の恋を描いた恋愛小説。夫の浩さんとは仲の良い夫婦生活を送っていたはずだった。しかし、それもまた夫婦という幻想の上に成り立っていたに過ぎなかったのである。浩さんが美弥子さんの話を半分しか聞かない時点で、もはや日常が恋愛を侵食していた。彼らの間での性行為は、ジョーンズさんとの間に交わされる非日常のそれとは決定的に違っている。そう、恋愛は常に日常を超えた「外」にしか成立しないのだから。ただ、小説の結末が、この新たな恋愛もまた崩壊の予兆を孕んで⇒

2018/04/29

おしゃべりメガネ

さすがは江國さん、テーマが‘不倫’なのにもかかわらず、こんなにもキレイな作品を書いてしまうとは、ただただ感服するしかありません。自分が「きちんとしている」ことが大切に思えている主婦「美弥子」さんと近所に住む大学の講師「ジョーンズ」さんとの静かながらも、しっかりと熱を感じる‘恋愛’作品です。とにかく絵画のような文章にひたすらココロを奪われ、ドロドロした人間憎悪の描写でさえ、クリアな文章で書き綴ってしまう江國さん、やはりスゴすぎます。主人公が意を決して『きちんとした不倫妻に』なろうとする姿が印象的でした。

2016/03/22

相田うえお

★★☆☆☆ (初読後、すぐさま再読してレビュー更新) お気に入りさんが面白かったという好感印象を持たれたとなれば流石に読み直さねば勿体無い!で、仰っていた事を頭に置き再読!初めは馴染めなかった三人称多元技法という文体も気にならず。ただ、個人的にはなぜか夫側の立ち位置で見てしまいがちで、堪らなくなるのは同じ。作品としての良さは皆さんのレビューが示す通りとして、当方にはこの話の内容自体が心の許容範囲を超えてしまって嫌嫌モード。。感じるべきではないことを感じてしまった外の世界というのには重みを感じました。

2016/09/25

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

そこにいる人のぬくもりを感じながら遠くにいる人のことを考えてしまうのはなぜなのだろう。手に入ってないものの方が価値があるように見える?今ここにある幸せを噛みしめたいのに物足りないように感じるのはふしぎ。 「もはや小鳥のように思えないいとしいひと」は破綻の足音なのかしら。そうでないといい、と永遠に変わらないものなどないと知っていながら祈るような気持ちで。

2021/09/03

じいじ

長らくご無沙汰の江國香織を読んでみたくなった。円満夫婦の人妻・美弥子が、年の離れたアメリカ人大学教授に不倫する話である。まさか、妻は浮気などするはずがない…と安心していたのに…。この美弥子さん、初めての不倫とは言え、キャラが立ちすぎて天然で面白い。自分の不倫報告を、夫に何でも話してしまう―のは、とても理解し難いが…。ユニークな美弥子の悟り(迷いごと?)の一言。お茶友達から、一線を越えてしまった「名実ともに不倫妻になってしまった。だったらせめて、きちんとした不倫妻になろう」。

2020/04/20

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