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続 窓ぎわのトットちゃん

続 窓ぎわのトットちゃん

続 窓ぎわのトットちゃん

作家
黒柳徹子
出版社
講談社
発売日
2023-10-03
ISBN
9784065296714
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「続 窓ぎわのトットちゃん」のおすすめレビュー

SNSで映画好きから親子連れまで大きな反響 『窓ぎわのトットちゃん』。その先を描く続編を通して黒柳徹子が伝えたかった「戦時中を生きた人々の姿」

『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)

 黒柳徹子が幼少期のことを綴った『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)が昨年12月に映画化され、本書を読んだ人はもちろん、黒柳さんのことをよく知らない若い層の間でも話題となっている。映画公開の少し前には、続編となる『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)も刊行された。黒柳さんは『トットちゃん』を通じて何を伝えたかったのだろうか。

幼いトットの目に映った戦争とは

 落ち着きのない言動で小学校を退学になったトット(黒柳)は、何もかもが自由なトモエ学園に転校する。映画には、「君は、本当はいい子なんだよ」とトットを認めてくれた小林先生との心温まるエピソードや、大好きな友だちとのひと夏の冒険などが描かれている。トットが見た想像の世界にワープするような幻想的な映像が挟まれるのも、夢見心地で素敵だった。

 そのまばゆさとは相反するように、物語の中盤からは暗い戦争の影が忍び寄り、人の着る服や食べるものが質素になり、昨日までいた人がいなくなる様子や、兵士を戦地へ送りだす人たちが日の丸を振る姿が描かれる。多くを語らなくとも、戦争というも…

2024/2/2

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黒柳徹子、42年ぶり『トットちゃん』続編が発売。夜行列車で知らない大人に挟まれ1人で青森県へ向かうシーンから始まる物語

『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子/講談社)

 1981年に刊行されベストセラーとなった『窓ぎわのトットちゃん』の続編が、なんと42年の時を経た2023年に『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子/講談社)として刊行された。続編を期待されながら「よし! と思うまで、なんと四十二年もかかってしまった」と著者の黒柳徹子さんが本書冒頭に書いているが、『窓ぎわのトットちゃん』が刊行された当時、主人公のトットちゃんと同じ年代だった小学生が現在40代後半~50代半ばになっていることを考えれば、その時間の長さがわかるだろう。

『窓ぎわのトットちゃん』は小学1年生で学校を退学となったトットちゃん(黒柳さん)が、母親と一緒に自由が丘にあったトモエ学園へ向かう場面から始まる。トットちゃんは「君は、本当は、いい子なんだよ!」と校長先生である小林宗作先生に励まされて学園生活を楽しんでいたが、太平洋戦争が始まり、空襲でトモエ学園が焼けてしまう。その空襲とちょうど同じ頃、疎開するため東北へ向かう汽車にトットちゃんがひとりで乗っている場面で終わっていた。『続 窓ぎわのトットちゃ…

2023/11/8

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 国内で800万部、世界では2500万部を売り上げた黒柳徹子氏の自伝的小説『窓際のトットちゃん』。「落ち着きがない」という理由で小学校を退学になったトットちゃんこと黒柳氏が、自由な校風のトモエ学園へ転校。のびのびとした毎日を過ごす様子を綴った一冊です。

 その42年ぶりの続編として先日刊行されたのが、『続 窓ぎわのトットちゃん』。黒柳氏がまだ小学生だった頃の、幸せな生活から本書はスタート。次第に戦争の影が忍び寄り、父は出征、母とトットたちは青森へ疎開します。父の出征の日、疎開先へ行く列車での出来事など、辛い毎日の中でも黒柳氏独特のユーモラスでチャーミングな着眼点は健在。独自の視点で当時の出来事がまるで昨日のように鮮やかに描かれるからこそ、日常を壊していく戦争のむごさが際立ちます。  終戦後、トットは東京へ戻って女学校へ入学。自分の才能がどこにあるのかと悩みながらも「子どもに上手に絵本を読んであげられるお母さんになる」ためにNHKのオーディションを受験します。そこから女優の道を進み始め、ニューヨークへ留学に行くまでで本書は幕を閉じるのですが、こちら…

2023/10/28

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続 窓ぎわのトットちゃん / 感想・レビュー

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いつでも母さん

黒柳徹子さんの全盛期っていつだろう?私の物心ついた時から活躍していて今も現役って凄いなぁ。TVの黎明期からフル回転されて、それ以外でも社会貢献活動もされて、その上で自分の居場所をブレずに・・秀でるとはこういう事なのだろう。前作を読んだのはいつだったろう。多分その時も思ったはず「よく覚えているなぁ」って。黒柳徹子さん正直な方だ。唯一無二の方だと思う。と、同時にそのご両親も素晴らしいと思った次第。あとがきまで面白く読んだ。『徹子の部屋』百歳まで行けるんじゃないでしょうか!

2023/11/17

まちゃ

子供の頃、家にあった「窓ぎわのトットちゃん」(1981刊行)を読んだ記憶があります。さすがに内容は覚えていませんでしたが。42年ぶりの続編とは、それだけで奇跡のような気がします。トットちゃんの体験を通した、戦前、戦中、戦後のお話は、平和の大切さについて考えさせられる大変興味深いものでした。トットちゃん、いつまでもお元気で。

2024/03/10

nonpono

10歳のときに肺炎で初めての入院。寂しかったけどある本に出会えた。人生観に影響を及ぼす。そのすてき本の続編が読めるなんて。トットちゃんの素直さ、向上心、追求心がすばらしい。ちんどんやさんになりたかった女の子がNHKの劇団員へ。初めて自分を肯定してくれた恩師、社会にでて自分に自信を持たせてくれた恩師、そして渥美清との交流は泣ける。また、テレビ黎明期のテレビ史でもある。わたしは接客業についていたとき、人とうまく話せなくて、「徹子の部屋」を話し方のお手本として見ていたことがあった。黒柳さん、尊敬してます。

2023/12/09

ムーミン2号

たまたまつけていたTVで、徹子さんが本書を出版するという会見を開いていたのを見たので購入。その会見で、徹子さんは今のウクライナ情勢のこともあって…と話されていたが、本書の前半は太平洋戦争とトット家の関わりが描かれている。3月9日から10日の、あの東京大空襲では直接の被害はなかったものの、お父様が出征なさっている中で、お母様は疎開を決意せざるを得なくなる。結局、後日自宅も焼失してしまうし、お父様が帰国されるには5年もの歳月が必要だった。そして、戦後のNHK初期での活躍までが描かれている。貴重な体験の記録だ。

2023/10/09

ちゃちゃ

42年ぶりの続編だが、なぜ今、なのだろう。前作は累計発行部数国内で800万部、全世界では2,500万部を超えるという。戦争体験を書き残す、愚かな戦争を繰り返さない。長い時を経て黒柳さんが筆を執られたのは、文筆家として後世に伝える使命からだろう。1945年3月、防空壕から見上げた真っ赤に染まる空。焼夷弾が街を焼き尽くし、人々の尊い命や暮らしを奪った東京大空襲。疎開先での体験も含め、11歳だったトットちゃんの胸に鮮烈に刻まれた戦争の記憶。言葉の力で世界の平和を強く希求することが、今強く求められているのだ。

2023/12/02

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