春、死なん (講談社文庫)
春、死なん (講談社文庫) / 感想・レビュー
えりまき
2024(13)妻に先立たれた70歳の男の話と、母と娘の2編。生と性。孤独を感じ寂しくなるお話でした。
2024/01/20
Katsuto Yoshinaga
“スキャンダラスでエロい”ことを期待して、良い意味で裏切られた『最低。』に続き、またも良い意味で、ウラ筋に裏切られる。「縛り付けられるのを、お互いやめにしませんか」「こうやって生きる気力を、吸い取られ続けられるのも」と書いた著者に、解説の田中慎弥氏が「それにしても、世の中どうして家族が重視されるのだろう。(中略)家族を書いたのではなく小説を書いたんですけど、(中略)うんざりする。我々はまだこのうんざりを蹴散らし切れない」と書き、著者がこのうんざりを蹴散らしそうだと期待を語る。注目すべき作家が増えた。
2023/04/29
kazu4
紗倉まな氏、何故70歳の男性の内面を描ける⁉️ まさしく、小説家です‼️ 解説でも『山の音』が出てきますが、信吾の一面を富雄の中に垣間見ました。
2023/07/30
nnnともろー
短編2編。連れを亡くした夫と妻。老いらくの恋と性。若い作者がよく描けたなと感心。所々分かりにくい描写があった。
2023/10/22
オールド・ボリシェビク
短編2編を収める。著者は「高専卒のAV女優」という変なデビューをしたのだが、そういうことは差し置いても、しっかりした小説であると思う。表題作は、妻を亡くした70歳の老人が、学生時代に一度だけ情交した後輩女性と再会する話。といっても、そこに希望などない。老醜が漂うだけだ。ただ、老いていく身を憐れむ主人公が哀しいだけだ。この作家、まだ若いのによく、こういうじじいの心境を描けたものだ。感心する。「春、死なん」とは西行の「願わくは花のもとにて~」の歌より。そうはありたいけど、そうもいかない。それが人生なのだろう。
2024/03/25
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