修羅の家 (講談社文庫)
修羅の家 (講談社文庫) / 感想・レビュー
イアン
★★★★☆☆☆☆☆☆実在の事件をモチーフとした我孫子武丸の長編サスペンス。強姦殺人を犯した晴男は、その一部始終を目撃していた女・優子の家へ連れていかれる。そこで晴男が見たものは、生気を失った10人程の男女の姿だった…。〝支配される家族〟と聞けば、尼崎や北九州の監禁殺人を連想させるが、まさにこれらの事件を下敷きに描かれた胸糞系ノワール。ただし同じ胸糞系でも著者の代表作『殺戮にいたる病』ほどの衝撃はなく、優子の人格もブレ過ぎで、洗脳に至るプロセスにも説得力を欠いた印象がある。帯の惹句はJARO審議レベルでは?
2023/09/06
のり
尼崎事件・北九州事件・さらに誉田作品のケモノの城の様な救いのない悲惨極まる話。途中まで騙されながら読み進め、後半にいくにつれ応援にまわった。しかし、人をここまで操れる能力を別の方に使って欲しかった。確かに同情する過去はあった。それでも負の連鎖の辛さは、本人が一番知っていたはずだが…思考停止で支配され続ける苦しみ。人格崩壊。表に出ない現実は他にもあるのだろう。とにかく声をあげなければ…
2024/02/08
JKD
レイプ殺人を優子に目撃された晴男は優子の住む家へ連れ込まれる。そこには優子ただ一人に恐怖で支配された異常な「家族」がいた。と前半はその「倫理観を破壊された家族たち」の異常さが淡々と描かれていくが、まどかの真実でエッシャーの騙し絵のような展開から一気に事の真相へ向かっていく。尼崎事件や北九州事件の報道では他人事のように感じていましたが、この本はあまりにリアル過ぎて我が身が震えてしまうくらい恐ろしかったです。
2023/09/09
naolog
どこかで似た世界を感じたと思ったら新藤冬樹『殺し合う家族』だった。この本は方言が見られないので少しマイルド。ただ、非常にストレスのかかる、吐きそうな小説であるのは変わりない。。”逃げ出せばいい”がうまくいかないのはパワハラ事例でもよく知られたところ。ミステリ的な仕掛けは自然にストーリーに入っていてこれはこれで。
2023/10/26
井戸端アンジェリか
「殺戮にいたる病」で、ゲーとかヒャ〜とかホホゥとか思った皆様、おまんたせ致しました♡って感じでしょうか。ワタクシは間違いなく待っておりました。ああ、それなのに…。どこかで見聞きした事件のようなお話。しかも事実よりもあっさり目。騙される気満々で読んでいたので、仕掛けにも足をすくわれる事なく無事に読了してしまいました。ああ…。
2023/09/17
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