の、すべて
の、すべて / 感想・レビュー
keroppi
今描いてるいる時をしつこく確認するような文面。年代や社会的事象は事実だが、ここで描かれているスサノオという政治家及び政治的活動はフィクションだ。その政治家の伝記を書いているのはアーティストという設定が実に興味深い。政治とテロと宗教と歴史と芸術がシャッフルされ、愛の物語となっている。つい最近耳にした美術評論家・宮川惇の「芸術家は決して自然に汲むものでも、無から創造するのでもなく、つねに芸術という一冊の本を読んでいる、つまり書いている」という文が浮かんできた。
2023/11/08
ぐうぐう
ここには、政治と宗教と芸術と、そして恋愛が描かれている。何より、時代そのものが描かれている。この場合の時代とは、過去のことだけではない。渦中であり、あるいは未来でもある。『の、すべて』と題された小説は、だから嘘ではない。ある人物の伝記として現れる小説の、その語り手がアーティストであるのだが、それが一筋縄ではいかない。人称を変えながら(つまり主体と客体とを入れ替えながら)、伝記は進んでいく。しかし、この複雑さは読者への挑発ではなく、誠実であろうとする結果だ。(つづく)
2024/02/27
harumi
初めての古川日出男さん。分厚くて、癖の強い独特の文章なので返却日までに読み終わるのが大変でした。登場人物が全員この難解な会話で意志疎通できているのがすごい。私にはついていけませんでした。ストーリーだけを追うと純愛小説、許されざる恋、のように思えます。そこに宗教と政治と芸術が絡むのですが、中心は芸術でした。
2024/01/29
まぶだむ
第一楽章「恋愛」 第二楽章「疫病」 第三楽章「英雄」 第四楽章「神典」 スサノオ、タ・タ・タ・ターン、ブランコ
2024/01/07
ドクショモンスター
読者を没入させる文体
2024/03/31
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