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黒い絵

黒い絵

黒い絵

作家
原田マハ
出版社
講談社
発売日
2023-11-01
ISBN
9784065332399
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「黒い絵」のおすすめレビュー

不倫中に見た仏像の中指に着目したエロティックな理由とは? 読むと無性に美術館に行きたくなる原田マハの新作短編集『黒い絵』

『黒い絵』(原田マハ/講談社)

 原田マハ氏の小説を読むと、無性に美術館に足を運びたくなる。その作品のほとんどに、ゴッホやセザンヌなど実在した画家が登場したり、アートにまつわるうんちくが語られたりするからだ。だが、6本の短編を集めた『黒い絵』(講談社)は「ついに封印が解かれた、著者初のノワール小説集」というふれこみ通り、ドロドロした人間関係も直截的に描かれている。ノワール小説集とは、犯罪や暗黒街を題材とした小説のひとつの形式で、それに決然と挑んだのがこの短編集というわけだ。

 アートの専門家たちの交友を綴った「楽園の破片」、イタリアの文化遺産修復の現場を舞台にした「キアーラ」などは、過去作との連続性を感じさせるが、それだけでは終わらないのが本書の特徴。女子高校生たちの壮絶ないじめや、あけすけで露骨な性描写、不倫の泥沼にハマった女性たちの懊悩など、人間のダークサイドに焦点が当てられている。芥川龍之介『地獄変』へのオマージュである「オフィーリア」も出色の出来だ。

 むろん、全編がダークとは言わないが、これまでの原田氏の作品が「明」だったとすると、本作は「暗…

2023/11/29

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黒い絵 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

夢追人009

原田マハさん初の「ノワール」小説集。カバーイラストの画家は加藤泉さんという方だそうで初めて知りましたが強烈な印象の絵ですね。人間の暗い情念と理不尽な悲しい絶望的な運命が描かれたブラックな6編です。過酷な運命にさらされるヒロインを描く物語が5編とラストの1編のみ男性が主役の話です。まあもう既に手遅れな話もありますが中には自らの過ちを悔い改めて一から出直せる物語もありますので、もう駄目だと簡単に諦めずに何度でもやり直して最善を目指し人生を粘り強く頑張って全うして欲しいなと思いますね。#NetGalleyJP

2023/11/15

starbro

原田 マハは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、黒原田マハ+エロスの短編集でした。個人的には白原田マハの方が宜しいかと。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000381028 【読メエロ部】

2023/12/05

bunmei

これがマハ作品かと思うほどのノワールな小説。特に前半3作は、これまでには見られなかった、隠微なエロチシズムと人の暗黒心理を官能的に描いている。表紙の加藤泉作品の生死が分からない不気味な目のように、その奥底に潜む性への衝動や渇望を描く筆致に、心を抉られる。『黒い絵』のタイトル通り、ドロ臭い人間模様の中に、性の本音や駆け引きを包み隠さず映し出した短編集。後半の3作は、いつもの美術作品に基づいたマハ作品らしさが戻るが、その切り口は、黒く塗りこめられた人の業と共に、美術作品を闇のテイストから描いている

2023/12/07

旅するランナー

性なる芸術小説、6短編。室生寺弥勒堂にある釈迦如来座像の聖なる姿態に、ほの暗いエロティズムを感じとる一編「指」など、あえて芸術の中のタブーに切り込んだ挑発性を感じます。最近観た映画「哀れなるものたち」でも芸術とSEXは身近なものと感じたので、同じ流れをくむ作品に思えます。

2024/02/24

うっちー

前半4編は私の知らなかったマハさんの世界、2020年代の作品はマハさんそのものでした

2023/11/20

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