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きこえる

きこえる

きこえる

作家
道尾秀介
出版社
講談社
発売日
2023-11-22
ISBN
9784065334546
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「きこえる」のおすすめレビュー

音声×小説!“どんでん返し”の天才・道尾秀介が生み出す「読んで聞いて謎を解く」全く新しい能動的ミステリー

『きこえる』(道尾秀介/講談社)

 衝撃が直接耳に届いた時、どうにか絶叫を堪えた。未だかつてないほどの悪寒。戦慄。指先の文字から広がる物語と耳元から聞こえてきた音声は、私たちに今までにない読書体験を味わわせてくれる。——そんな作品が『きこえる』(道尾秀介/講談社)。直木賞作家・道尾秀介が「小説を体験できるものにしたい」と生み出した「耳を使って体験する」ミステリーだ。

「耳を使って体験」とはどういうことなのか。それは、この本では小説を読み進めていくと、作中のさまざまなタイミングで「2次元コード」が登場し、そのコードを読み取り、音声を再生することで、新たな事実が分かる仕組みになっているのだ。本書には5作の短編が収められているが、たとえば、第一話「聞こえる」の主人公は、小さなライブハウスを経営する関ヶ原良美。ある日、同居してきた駆け出しのシンガー・ソングライター・夕紀乃を突然喪った彼女は、遺品を整理していた時、夕紀乃が残したデモテープを見つける。それを再生すると、良美は夕紀乃の存在をすぐ近くに感じた。作中に登場する「2次元コード」では、その「デモテープ」を…

2023/11/22

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きこえる / 感想・レビュー

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starbro

道尾 秀介は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の新企画、物語×音声。小説を立体的に体感する、まったく新しい「謎解き」の新体験型エンタメ短編集ということで読みました。電車の中で読んだので、読了後、家でYouTubeの音声を再生しました。思ったほどの効果期待出来ずでした。オススメは、「にんげん玉」&「死者の耳」です。 次は、著者のオーソドックスなミステリを読みたいです。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000381766

2024/02/23

ノンケ女医長

いくつかのQRコード。スマホで読み込むと、小説世界の一部が音声ドラマで展開される。小説には敢えて表現しなかったやりとりも含まれており、仕掛けとしては新奇性が十分。ただ、命がこの世から消えていく過程や、怒り悲しみといった心境描写には真新しさがあまりないように思う。動画を結びつけるというアイデアが、もしかすると、かなり先走っているのかも。「いけない」や「N」などから繰り出される奇抜な作風よりは、筆力だけで読者を魅了する小説を今後読みたい。

2023/12/19

イアン

★★★★★★★★☆☆二次元コードを使ったギミックが斬新な道尾秀介の短編集。同居するシンガーソングライターが何者かに扼殺された。生前に吹き込んだデモテープには、不穏な言葉が残されており…(「表題作」)。いずれも「音」が真相究明の鍵となる5編が収録されているが、難易度は比較的高く、考察サイトを覗きようやく理解できる作品も多かった。特にこの手法でしかトリックが成り立たない「にんげん玉」が秀逸だ。読書の新たな可能性を模索し続け、ついに「視覚」以外の五感に訴えてきた道尾氏。次は「嗅覚」あたりを攻めてくるのだろうか。

2024/04/06

ちょろこ

新体験って面白い一冊。大活躍したのは耳。耳から音を拾い、頭の中で意味を繋げ答えを出すという新体験。正直、QRコードをいちいち読み取って…というのは面倒臭いなと思ったけれど終わってみれば面白かった。もちろん自分なりの推察はボヤけた視界のままだったけれど、ネタバレ考察サイトで確認すると一気に視界がクリアに。意味がわかると音とのコラボになるほど。耳元で囁かれる感覚は気持ち悪かったけど。親切サービスのおかげですんなりわかった話があったのがうれしい。やっぱり道尾さんはせつなさ残すのが巧いな。せつなさ断トツは「セミ」

2024/01/14

タイ子

道尾さんの次なる挑戦。「いけない」は視覚で今作は聴覚でこれまでにない感覚を味わった。5つの短篇作品で物語の前か後ろにQRコードがありこれをyoutubeに繋ぐと作品ごとにある音声が聞こえる。聞く前に作品を読むと何でもない(時に理解し難い)ミステリがこの音声によってガラリと印象が変わってくるのが面白い。普通のミステリならば、この音声が文章になり最後のオチになるんだろうけど、音声に置き換えて推理するとなると読者の想像力に委ねる感じ。道尾さんお得意の子供が主体の物語が私は一番好きかも。この試み、また読みたい。

2023/12/16

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