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スモールワールズ (講談社文庫)

スモールワールズ (講談社文庫)

スモールワールズ (講談社文庫)

作家
一穂ミチ
出版社
講談社
発売日
2023-10-13
ISBN
9784065334560
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スモールワールズ (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ケイ

再読。同作者の2013年度の本屋大賞候補作を読む前に既読作を振り返り。2度目の方が心に響く。初読時にはどの短編にも感じた歪さが、人としての弱さや他人に向ける優しさとなって訴えてくる。みな、その出し方がストレートでなく、だから一見理解したがい。嘘をつくことや盗むことで、気持ちを表す登場人物たち。そうせずにはおられない心の傷が見えてきた。盗むことで父にあらわす表明。夫も仕事も未来の子供も自分の手から離れていってしまう女の気持ちは切ない。それぞれの短編が少しずつ繋がっているのだな。

2024/03/18

かぷち

初読みの作家さん。文章そのものだけでなく行間から立ち昇る臭いが独特でなんとも魅力的でした。短編集、それぞれの物語で登場人物たちが暮らす世界は狭く重苦しい。こんなにも広大な星で、本当にちっぽけな世界で普段生きてるんだと気付かされる。良かれと思ってやってることが実は自己満足だったり、悪感情がただの自己欺瞞だったり。人間の心は複雑で醜くだからこそ美しいと思った。犯罪被害者家族と加害者が文通する「花うた」、一風変わった親子の関係を描いた「愛を適量」が特に印象的だった。

2023/10/30

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

(2023-135)初読みの作家さんでした。本屋大賞第三位、タイトルや装丁からもっとほのぼのとした話かと思ったら意外にもシビアなお話が多かった。「スモールワールズ」と言う通り、描かれるのは家族や友人などの小さな世界。「愛を適量」は冴えない父親とトランスジェンダーの娘を、「ピクニック」は幼い子供を亡くした家族をファンタジックかつホラーテイストに、「花うた」は傷害致死事件の加害者と被害者の妹との往復書簡で綴るなど、様々な関係が色んな手法で描かれる。なかなか引き出しの多い作家さんだなぁと思いました。★★★+

2023/11/11

http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/02/post-e216d5.html 破天荒なように見えて心優しい姉とその弟を描いた【魔王の帰還】が好きだったかな。

2024/02/17

piro

文庫化にあたり追加された1編を含む7編の短編集。何かを欠いた人達を、時に優しく、時に容赦無く描いた作品。心がざらつく様な結末もあり、いい具合に読者の想像を裏切る巧さを感じる一冊でした。暴力的ながら芯から優しい真央の姿に清々しさすら感じた『魔王の帰還』が一番好み。最後はちょっと泣き笑い。往復書簡の形で語られる『花うた』も年月を経て変わっていく心情を感じられて良かった。『ネオンテトラ』の作品間の微かな繋がりに気づけたのもまた一興です。

2024/04/28

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