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雨の塔 (集英社文庫)

雨の塔 (集英社文庫)

雨の塔 (集英社文庫)

作家
宮木あや子
出版社
集英社
発売日
2011-02-18
ISBN
9784087466690
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雨の塔 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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優希

歪んだ宝石箱に閉じ込められたような少女たちの繊細で切ない物語でした。世間から隔離され、自由のない孤独な世界にいるからか、互いへの意識や惹かれ合いは強いと思います。嫉妬と確執によって狂う運命に胸が苦しくなりました。閉塞された世界だからこそ漂う官能の香りがありました。少女と呼ぶには微妙な年頃ですが、この世界の中にいる限りは少女であり続けるのでしょうね。危うくて美しい雰囲気が素敵でした。

2015/11/08

エンブレムT

欲しい物全てを手に入れることの出来る少女たちに許されていないのは、学園の外へ出ることと、外の情報を知ること。その学園は外界から身を守ってくれる楽園であり、少女たちが“使われる”まで期間限定で閉じ込められている牢獄でもある。登場する4人の美しい少女たちは、皆どこか浮世離れしていて、抱えている事情に共感出来る要素などは自分には欠片もない。けれど、彼女たちが感じている痛みには、覚えがあったりもするのでした。この独特でいて濃密な、懐かしいとさえ思える空気感は、大人のために描かれた少女小説ならではなのかもしれない。

2014/10/10

のんき

「ラプンツェルの塔」と呼ばれている寮で暮らす二組、四人の女生徒の物語でした。外の世界とは隔絶されて、今の総理大臣も、相撲の横綱の名前も知りません。誰かと友だちになりたいけど、相手のことを知りたいけど、知りたくない。相手のことを傷つけたくないし、自分も傷つきたくありません。少しでも触れたら、すぐ壊れてしまいそうな、繊細で、はかない、切ない乙女たち。綺麗な文章で、孤独だけど、なんか純粋な女の子たちで、少女漫画にも登場しそうな感じ。

2018/07/09

青蓮

閉ざされた世界で暮らす少女たち。物語の雰囲気は好きだったけど、何となく物足りない。一人一人、もう少し掘り下げて書いて欲しかったかも。設定も女子大生より、女子高生の方がしっくり来るような気がしました。

2015/09/28

アッシュ姉

事情を抱えた資産家令嬢だけが集まる岬の学園。島流しと揶揄される遠い場所での外部から遮断された寮生活。孤独に苛まれる閉ざされた環境で、少女たちの交流は次第に濃密になり、憧憬、羨望、嫉妬、執着、様々な感情が渦巻いていく。歪で空虚な関係は自分の存在意義を確かめられるほど確固としたものではなく、誰かに必要とされたいという切実な思いは満たされずに危うい均衡が崩れていく。イヤミスになりそうな設定もそこは宮木さんの耽美な世界が待っている。大人のための少女小説と紹介されているが、乙女のための少女小説だと思う。

2017/07/13

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