主人公は乳酸菌と、菌を宿したOL!? 史実に基づいた前代未聞のお仕事小説『令和ブルガリアヨーグルト』宮木あや子インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年1月号からの転載です。
凄まじい小説である。ヨーグルトをテーマに小説を書こうと思ったからといって、誰が擬人化した乳酸菌(ブルガリア菌)を語り手にしようと考えるだろう。彼なのか彼女なのかわからないその菌と、菌を身体に宿す(=つまりヨーグルトを食べている)由寿という女性の視点が交互に描かれる小説『令和ブルガリアヨーグルト』。さらに作中作として、菌を擬人化したBL大河ロマン小説が随所に挟み込まれ、菌の生態と歴史を学びながらその関係性に萌え、20代OLの成長に胸を打たれるという、壮大な物語が展開されていく。
取材・文=立花もも 写真=太田太朗
「昔から、物におしゃべりさせるのが好きだったんですよ。昔、メールなどに使われる通信プロトコルを擬人化して小説を書こうとして、止められたこともあります(笑)。でも、人間にとってただの物質やシステムでしかないものが意思をもってしゃべったら、かわいくないですか。ヨーグルトを題材に小説を書くことにしたのは、明治ブルガリアヨーグルトがちょうど50周年を迎えるからですが、乳酸菌がおしゃ…