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大人は泣かないと思っていた

大人は泣かないと思っていた

大人は泣かないと思っていた

作家
寺地はるな
出版社
集英社
発売日
2018-07-26
ISBN
9784087711448
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「大人は泣かないと思っていた」のおすすめレビュー

人生が分からなくなったときに読みたい! 生きづらさを抱えるすべての大人に送る感涙小説

『大人は泣かないと思っていた』(寺地はるな/集英社)

 就職や結婚、転職、死別。大人になると、さまざまな出来事を乗り越えなければいけない転機がやってくる。中でも、辛い出来事に遭遇すると、私たち大人はつい歯を食いしばったり、笑ったりして目の前で起こるあらゆる出来事に対応しようと頑張ってしまうが、時には思いの丈を吐き出し、子どものように素直に感情を表現することも大切なのかもしれない。そう思わせてくれるのが『大人は泣かないと思っていた』(寺地はるな/集英社)だ。

 著者の寺地氏は2014年に『ビオレタ』(ポプラ社)でポプラ社新人賞を受賞し、『月のぶどう』(ポプラ社)や『みちづれはいても、ひとり』(光文社)といった傑作を著してきた、今大注目の実力派作家である。

 そんな彼女が手がけた本書には、恋愛や結婚、友情、絆など「家族の形」を前に、生きづらさを感じる大人たちが前向きに歩き出す姿が7編収録されている。家族や愛、人生とはなんなのかという疑問に自分らしい答えを導き出させてくれる本書は、大人な私たちの心に強さも与えてくれる。

 物語は農協に勤める時田翼のエピソード…

2018/8/28

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大人は泣かないと思っていた / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さてさて

『なにもかもうまくいく場所などどこにもない。どの場所で咲くことを選んでも、良いことと悪いことの総量は同じなのかもしれない。生まれてから死ぬまでの時間で均してみれば』。濃厚で息苦しくなるような田舎で人生を送っても、希薄で時に人恋しくなるような都会で人生を送っても、それぞれの人生の中に喜びと悲しみがある。そんな中では大人だって泣きたくなる時もある。泣いてしまう時もある。大きな事件もなく淡々とした人の暮らしを描いたこの作品。「大人は泣かないと思っていた」、何だかふっと心が温かくなるのを感じた、そんな作品でした。

2021/02/23

ウッディ

田舎の家で頑固な父と二人で暮らす翼を中心に、庭の柚子の実を盗られるという小さな事件から繋がっていく7編の優しい連作集。バトンを繋ぐように主人公が交代しながら進んでいくストーリーで、みんな事情や悩みを抱え、傷つきながらも優しい気持ちで生きている事がわかります。翼の強さと鉄腕の優しさ、一見正反対に見える2人のキャラが印象的で派手さは無いけど、じんわり心に沁みてくるお話でした。自分も子供の頃は、大人って涙を見せず、強いもだと思ってけど、心の内は何も変わっていない、そんなタイトルも印象的でした。面白かったです。

2019/01/20

うっちー

寺地さん初読み。メーターの評価通りgoodでした

2018/09/05

kotetsupatapata

星★★★★★ 著者初読みです。 九州のとある地方都市を舞台に、一組の男女を通して周囲の機敏な人間模様を描いた作品。 7編それぞれ語り口を変えながらの連作短編でした。 少し時代遅れの男尊女卑な考えや、閉鎖的な地方都市の実状にげんなりするシーンもありましたが、翼とレモンのつかず離れずの関係や、友人・同僚の温かく見守る眼差しが共鳴できる爽やかな作品でした。 翼も遠くの将来に怯えて立ち止まることをせず、レモンと手を携えて幸せに生きて欲しいものです そして登場する女性達の逞しさに比べ、男衆のポンコツな事😩

2021/02/02

ネギっ子gen

<休日に菓子をつくることは俺のいちばんの楽しみ>の時田翼32歳と、名づけのセンスが独特な親を持つ小柳レモン22歳。ふたりは、庭の柚子をめぐって真夜中に出逢う。柚子好きなわたしには、導入からワクワクの展開。<ひとりの人間の生涯におこったことのすべては、そのひと自身しか知り得ない。ひとがひとりいなくなるということは、ひとつの物語が消滅するということでもある>との文章に、深く共鳴。読後、うっすらと感涙のひとしずく。BGM:中島みゆき「永久欠番」♪100億の人々が/忘れても見捨てても/宇宙の掌の中/人は永久欠番⇒

2020/08/25

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