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山ぎは少し明かりて

山ぎは少し明かりて

山ぎは少し明かりて

作家
辻堂ゆめ
出版社
小学館
発売日
2023-11-15
ISBN
9784093867016
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山ぎは少し明かりて / 感想・レビュー

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starbro

辻堂 ゆめは、新作中心に読んでいる作家です。タイトル から、もっとほのぼのとした小説かと思いきや、親子三代瑞ノ瀬村ダム建設計画クロニクル大河家族小説、読み応えがありました。 https://dps.shogakukan.co.jp/yamagihasukoshiakarite/

2024/01/29

いつでも母さん

三世代の母娘を紡ぐ物語。キーはダムに沈んだ「瑞ノ瀬」という故郷・・佳代を描いた第三章が圧巻。世のため人の為に犠牲になる故郷は湖の底。じわじわと周りから崩されて最後の一人になった佳代を思うに「仕方がない」「そこまで頑なにならなくても」と私の心が揺れるのは傍観者だからだろう。佳代の夫・孝光の死だけが謎として残るが、最期の佳代の手紙には苦しくて切なくて泣けてしまう。佳代と孝光夫婦が眠る瑞ノ瀬の湖は凪て優しいか。

2024/01/19

パトラッシュ

辻堂さんは抽斗の多い作家だ。無戸籍者にタイムリープ、コロナ禍や教育虐待と押し潰されそうな状況下で懸命に生きる人びとをテーマとしてきた。新作は日本近現代史が舞台の歴史物で、祖母から母、孫娘と女性三代にわたり時代の流れや風潮に翻弄される姿を描いていく。しかも通常なら年代記的になるところを、孫娘の挫折を発端として過去へ遡る形で一族の秘密に迫る構成が巧み。3人とも幸せを願いながら現実に苦しみ、必死に生きようともがき続ける。愛する人と新しい故郷を見つける道を選ぶ孫の都の姿が、現代人にとって故郷とは何かを訴えてくる。

2023/12/12

hirokun

★5 祖母、母、娘の三代にわたる人生を通じて、時代の変遷に伴う価値観の変化、自然環境、生活環境、住環境の変化を巧みに表現した作品だった。何がその時代に生きる人にとって幸せであるのか。時代が人間に与える影響、根源的に人間の持つ欲望、希望,意思などいろんなことを作品に織り込んでおり、非常に作品に入り込んで読ませてもらった。自然の持つ風景描写は大変美しく感じたが、私たち日本に暮らすものが、どのような暮らし方を選択していくのかは、簡単に決めることが出来ない課題だと思う。

2024/01/02

とん大西

佳代から雅枝へ、雅枝から都へ。80年余の星霜を経て今に至る家族の大河。ダムに沈んだ故郷瑞ノ瀬村。想いは紡がれたか、漂うばかりか。うん、辻堂さん、相変わらず若さとは反比例するような老練な舞台設定。グイグイ読ませる筆致は流石です。時代とともに変わる考え、世代ともにうつりゆく気持ち。躓いた都…でも絶望の先にこれから故郷を創り始める未来がある。葛藤と愛憎と…翻弄される雅枝にも瑞ノ瀬は確かに根付いている。そして、佳代の思慕は瑞ノ瀬に今も生きている。

2024/01/13

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