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全部ゆるせたらいいのに (新潮文庫 い 136-2)

全部ゆるせたらいいのに (新潮文庫 い 136-2)

全部ゆるせたらいいのに (新潮文庫 い 136-2)

作家
一木けい
出版社
新潮社
発売日
2023-03-29
ISBN
9784101021225
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全部ゆるせたらいいのに (新潮文庫 い 136-2) / 感想・レビュー

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Shun

読むのはデビュー作以来となる一木けいさんによる連作短編集。読み始めるとしっとりと胸の奥に響く何か心地よい感覚が芽生えてくるようです。書いている内容はとても辛く、叫びたいけれど誰も助けてくれないような切々としたものなのに何故だろう。そして読んでいると感じる、この感覚は知っていると。何かと生きづらい世の中と言われるこの現代で、その表し難い痛みをこの作家は表現してくれているように思います。また連作短編という形式も実にしっくりきていて良いですね。

2023/04/04

よっち

生まれたばかりの娘・恵と一日中向き合い、仕事の苦しみから酒に逃げる夫に苦悩する千映。安心が欲しいだけなのに、あきらめて生きる癖がついた、明日何が起きるか予測がつかない日常とその過去を描く物語。言葉が通じない小さな子供と一日中向き合うだけでも大変なのに、酒に溺れたびたび何かやらかすようになった夫に振り回される日々も突き刺さりましたが、それ以上にアルコール依存症だった父と家族の歪んだ関係、それでも希望を見出したくなる気持ちが切なくて、上手くいくようになるといいなと思わずにはいられない結末がとても印象的でした。

2023/04/03

エドワード

千映の夫の宇太郎は、下戸なのに毎夜酒を呑んで泥酔する。一歳の恵の保育に家事に忙殺される千映の目に、アルコール依存症だった父親の姿が重なる。父親は勤勉で知的だったが、一日たりとも酒を離せない人だった。酒を呑むと暴君に変貌し、家庭は荒れた。アルコール依存は本当に怖い。リアルに描かれる、知恵が働く父親の暴言、妄想、執着。専門病院へ入院させても、治らない。本人ももちろん苦しんでいる。だから、父との絆を断たない千映。愛に始まり愛に終わる。ここまで愛される父親が羨ましいよ。解説の桜木紫乃さんの文章がまた極上なのだ。

2024/01/17

水色系

読み終えて、お腹が気持ち悪くなってる自分に気がついた。アルコール依存の父を許したかった千映。何度傷つけられてもまた過去のよかった思い出のなかの父(そんなときがあったかもわからないが頭の中で補正してでも)の笑顔を期待してしまう。もう、私からは何も言えない。大きな大きな虚無感が残るのみ。「許せない」からといって「愛していない」ことにはならない、という場合がある。感情とはかくも複雑なものなのかと、分かっていたつもりのことだったのに衝撃を受けた。

2023/04/22

ピロ麻呂

身近に酒ぐせの悪い人がいたら…なかなかやめられないだろうし大変だなぁ😅

2023/07/08

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