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海辺の光景 (新潮文庫)

海辺の光景 (新潮文庫)

海辺の光景 (新潮文庫)

作家
安岡章太郎
出版社
新潮社
発売日
2000-08
ISBN
9784101130019
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海辺の光景 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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佐島楓@勉強中

生活と時代の矛盾と皮肉、悲哀をはっきりとあらわしている。困窮のなかで認知症のようになり衰弱していく主人公の母の姿が凄絶である。課題のため読んだが、もうちょっと私が若ければもっと衝撃を受けていただろう。人間の装飾を取り除くとこういう姿になるということの、意味。

2017/07/15

若布酒まちゃひこ/びんた

私小説的な感じで語り手のなかの時間をさまよう表題作は、終盤にあらわれる家族外部の生暖かい眼差しへの嫌悪に迫力を感じた。個人的には「宿題」が好き。

2016/03/07

ドン•マルロー

いったい何度目の再読だろう。安岡文学の魅力を一言で述べることは容易なことではない。なるほど文章は抜群にうまい。独特のリズムがあり、作品世界にリアリティをあたえる呼吸がある。しかし、それ以上に、あるいはそれとは比べられないほどに、物語られる世界に尋常でなく惹きつけられるのだ。決して派手ではない。希望が語られるわけでもない。絶望とまでは言わないが、地を這うように生きるものの人生がひどく生々しく描かれるだけだ。にもかかわらず、私にとって氏の作品は、文学におけるひとつの定点でありつづけているのである。

2016/07/30

くまさん

 主題と語りと描写が相関しているというだけではない。主題がそもそも根本的なのだと思う。語るべきことが多く残されている。「母」の解体や母からの「解放」ということは、そう口にできるほど容易なことでは断じてないと感じる。病いや老いや死はもちろん限界ではある。しかしその死のかなたで、何が生きつづけるのだろうか。母の死のさきに待っている光景は、ある意味で既知のものではなかったか。強烈な印象を残した作品。

2019/02/13

長谷川透

安岡章太郎の自叙伝的な要素が強い。「海辺の光景」。戦後のある家族の崩壊と母の死を描いた作品と紹介すると御泪頂戴小説だと思われるかもしれない。しかし、この小説は憐憫の気配が全くないから不思議である。恐らく、著者が家族を描くときに見つめる距離が恐ろしく遠いからではないか。海岸から遥か先の水平線を眺めるように距離を取るせいで、家族を襲った悲劇も靄の先から見つめるような隔たりを感じてしまう。その他の短篇群は、不可解な事象が立て続けに起こっているのだが、何一つ解決せずに(言及せずに)結末を迎えてしまう結末が面白い。

2012/12/05

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