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目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

作家
星野智幸
出版社
新潮社
発売日
2004-10-28
ISBN
9784101164519
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目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫) / 感想・レビュー

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NAO

題に魅かれて購入。文の美しさと妖しさにくらくらする。現実の世界に居場所がない糖子と、日系ペルー人ヒヨヒト。サルサのリズムに合わせて踊りあうことで互いに濃く深く繋がり合いながらも、糖子が作り出す妖しい世界に引きずり込まれそうになりながらも、ヒヨヒトが糖子と同化しなかったのが分かるような気がした。生きていくためには、結局、現実と真剣に向き合わなければならないから。自分の居場所を見つけるためには、自らが動き出さなければならないのだから。

2017/10/20

さっとる◎

合う合わないで言えば全然合わなかったけど(笑)時折描写がびっくりするくらい素敵で、それだけでも読んで良かったかな、短いし(笑)錯綜する一人称と三人称。「電気仕掛けのような夜だった。」異国めいた日本の片隅で今はもういない恋人を愛し続ける美しく妖しく現実感希薄な糖子。分裂した自分をもて余すヒヨヒト。ふたりがすれ違った幻のような3日間。そんなふたりはさておき、ヒヨヒトの恋人あなちゃんが良かった。半人前だからって、半分と半分で1じゃない。お互い一人だから、離れてても一緒にいられる。自分だけつらいと思うなよ。

2016/04/09

まさむ♪ね

ヒヨとマル、あなと糖子と蜜夫と密生。「アンソニー」が刻むラテンのリズムにのせて心と体が踊り出す。日本語とスペイン語が乱れ飛ぶ灼熱の太陽の下、こすれ合う性器と性器、赤土の土埃が舞い上がり、黄金色のススキは優雅にゆれていた。幻想的な月明かりに照らされて、あいまいになるあの世とこの世の境界線。そこでは時間と空間がねじ曲がり、日本と南米ペルーが地続きとなる。ここはどこだろう、私はここで何をしているんだろう、私は誰だろう。私という人間が膨張し分裂してゆく。私はただそれを呆然と見守ることしかできないのか。

2015/10/04

多聞

ラテンアメリカ文学の非嫡出子のひとつとも言える作品。何故か小島信夫『抱擁家族』を彷彿とさせる不思議な手触りの作品だ。日本が舞台でありながら外国の出来事と感じてしまう。亡霊のように生きる糖子、複数の人格を内在する日曜人などアイデンティティーを意識させながらも色彩豊かな文体で描かれる模擬家族の日々は妙に心地よい。

2015/09/13

タク

再読。何故かここに来て、批評家達の評価がにわかに高まっている星野智幸さんの三島由紀夫賞受賞作(00年)。アイデンティティクライシスの描写が90年代過ぎる点に不満を覚えるけど、それを補う不穏な描写は一見の価値あり。この人はキャリアを重ねる度に面白くなっていきます

2011/02/06

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