KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

ひりつく夜の音 (新潮文庫 お 100-2)

ひりつく夜の音 (新潮文庫 お 100-2)

ひりつく夜の音 (新潮文庫 お 100-2)

作家
小野寺史宜
出版社
新潮社
発売日
2019-09-28
ISBN
9784101211527
amazonで購入する Kindle版を購入する

ひりつく夜の音 (新潮文庫 お 100-2) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

散文の詞

音楽にさほどの興味も知識もないので、話の内容があまり入ってきませんでしたが、なんともない日々が淡々と流れていくような展開がいいなあと思いました。 主人公の周りに自然と集まる人々も、ほんとに平凡です。 でも、自分の周りににもいる誰かに似ているような感じを受けるのは不思議な心地よさでした。 タイトルの「ひりつく」は、軽くしびれるような痛みだとおもいますが、音楽家だけが味わえる感覚なんでしょうかね。 夜の静寂の中で感じる軽くしびれるような痛みとは何なんでしょうね。私もちょっとだけ感じてみたいですね。

2021/09/09

となりのトウシロウ

ジャズマン、クラリネット奏者下田保幸は46歳。長らくディキシーランド・ジャズのバンドメンバーだったがリーダーの死去により解散。音楽教室で講師をしている。そんな下田に警察から、保護した青年佐久間音也を引き取るように言われる。この音也、左側通行で右側を歩いている人と、歩きスマホをしている人と、それぞれわざと避けずにぶつかったり、肉をナイフとフォークで全部ひと口サイズに切ってから食べるとか、なんか自分自身を見てるよう(笑)この作品、中年独身男性の生活の断片が描かれているのだが、色んなドラマがあるなぁと感じる。

2023/10/21

いたろう

下田保幸、46歳独身、蜜葉市四葉在住。解散したジャズバンド、井村勝とロンサム・ハーツのクラリネット奏者で、今は、音楽教室の講師とたまの演奏活動で、細々と暮らしている。その生活、毎日食べているちくわサンド、週1回の贅沢、朝食バイキングの描写が、やたら細かいのがおかしい。その一方で、ディキシーランド・ジャズについての記述が詳しいジャズ小説でもあり。今は亡き、昔の恋人の息子でギタリストの音矢との出会いから、下田が、音楽に再び真剣に向き合っていく姿がいい。バンドやお店など、他の小野寺作品とのリンクも楽しいところ。

2023/01/14

けろりん

46歳の男性の一人語り。キャリア30年のクラリネット奏者で、かつては名のあるジャズバンドに所属していたが、バンドの解散以降は、音楽教室の講師として細々と露命を繋いでいる。週に1度の「朝食海賊」、ちくわの食パンサンド、豆腐の汁…。縷々綴られる倹しい日々の描写が秀逸。ひしひしとユーモラスに描き出される中年男性の哀感。ある若者との関わりがきっかけで、過去の縁が甦り、停滞していた現在が動き出す。闇に沈む夜の底に静かな音楽がさざ波をたて、次第にうねり出すような、新たな希望を感じられる名手小野寺さんの筆が冴える作品。

2021/06/04

三代目けんこと

若者たちの「青春」もいいが、40代の「清秋」(最終章)も捨てたもんじゃない。本書に乾杯!!

2020/09/26

感想・レビューをもっと見る