ワンルーム暮らしの独身、じき50歳。売れない作家と若手編集者、再生の物語『食っちゃ寝て書いて』小野寺史宜インタビュー
作家・横尾成吾、じき50歳。1ミリの丸刈り頭に、ヨレヨレのチノパン。ワンルーム暮らしの独身。『食っちゃ寝て書いて』の主人公は、小野寺さん自身を彷彿とさせる作家だ。冒頭、編集者から長編小説のボツを食らった横尾は、重い気持ちを引きずったまま帰途につく。しかも公園を歩けば、おもちゃの銃で遊ぶ子どもたちに胸を撃たれる始末。なんともやるせない、売れない作家の物語が始まる。
小野寺史宜 おのでら・ふみのり●1968年、千葉県生まれ。2006年、「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作『ROCKER』で単行本デビュー。19年、『ひと』が本屋大賞第2位。「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『太郎とさくら』『夜の側に立つ』『縁』など著作多数。
「10年くらい前から、いつか作家を書こうと思っていました。僕が小説を書く時は、ネタだけメモっておいて、熟成させていくんです。このネタもそうやって寝かせておいたうちのひとつ。これまでにも何度か書こうとしましたが、なかなかOKが出ず、ストックされたネタのトップに…