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紺碧の果てを見よ (新潮文庫)

紺碧の果てを見よ (新潮文庫)

紺碧の果てを見よ (新潮文庫)

作家
須賀しのぶ
出版社
新潮社
発売日
2018-07-28
ISBN
9784101269740
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ジャンル

紺碧の果てを見よ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

江田島の海軍兵学校を卒業したエリート青年海軍将校、永峰鷹志を主人公に開戦前夜から終戦までを描く。物語は基本的にはこの時代を生きた男たちに共通した美意識に貫かれるが故に多分に軍国的な色彩を帯びることになる。作家ご本人にどこまでその意識があったかはわからないが、題材の性質上からも、また書いているうちに自ずと主人公に同化もしていくであろうし、小説が海軍礼讃ととられかねないのも避けられないだろう。そして、そこから物語を救っているのが、雪子の生き方であり、なによりも彼女が鷹志にあてて書き続けていた手紙である。

2022/09/12

あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

須賀さんの戦争もの、読者の想像を掻き立てるタイトルの意味を想像しながらも、読み応えある作品だった。海の色は碧にも黒にも黄金色にも…。人々はそれぞれの場所、そして置かれた立場から、その海、そしてその先に何を見るのだろう。必ず戻ってくる…。できもしない約束を交わす二人に、溢れる感情を抑えることができなかった。国を守る、家族を守る、恋人を守る…。純真な若者の命を無駄に散らすことがあってはならない。戦争作品を読むたびにいつも思うことだ。

2021/08/06

KAZOO

ある意味、背景は日本戦時中の海軍の話なのでしょうが、若い時の友情や家族の愛情などが背景にあるように思います。私の親せきが横須賀出身で海軍三代ということや江田島にも若い時に行ったことがあり懐かしく読みました。主人公の海軍兵学校の3人の友人(一人は在校中に亡くなりますが残した言葉がこの本の題名になっています)たちの生きざまをも絡めてある深い意味での反戦小説なのでしょう。父親の言葉が印象に残りました。

2023/01/12

utinopoti27

本作は、青雲の志を抱き、海軍士官となった主人公・永峰鷹史の生き様を通して、国を、そして愛する者を守るとはどういうことなのか、深く考えさせられる青春群像劇だ。苛烈な戦闘で、意気盛んだった兵学校の仲間たちが次々と命を散らす、理想と現実の落差が克明に描かれてゆく。この戦争の大義はいったいどこにあるのか。次第に苦悩を深める主人公の姿が胸に迫る。加えて、妹の雪子や妻の早苗など、しっかりしたキャラクター描写も見逃せない。『紺碧の果てを見よ。愛する者の防人となれ』 静かな感動の涙が止まらない640頁だった。

2020/05/17

しいたけ

会津の末裔、兄と妹、戦争、海軍、戦友、防人・・・言葉を並べただけで泣けてくる不思議。妹の手紙によって行きつ戻りつする物語は、敗戦という終わりを知っている身なれば残酷な伏線を拾う読書となる。それでも前を向いて読みたいのはなぜだろう。負けた気がしないのはどうしてだろう。あの戦争で、兵士は国を勝たせるために戦ったのではない。国を、家族を守るために戦ったのだ。ならば真の勝敗はその後を生きる私たちの生き方にかかっている。「我らは、敗北を糧に立ち上がる防人である。いかなる時代にあっても、諸君よ、紺碧の果てを見よ」。

2018/08/14

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