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ルル・オン・ザ・ブリッジ (新潮文庫 オ 9-5)

ルル・オン・ザ・ブリッジ (新潮文庫 オ 9-5)

ルル・オン・ザ・ブリッジ (新潮文庫 オ 9-5)

作家
ポール・オースター
Paul Auster
畔柳和代
出版社
新潮社
発売日
1998-10-01
ISBN
9784102451052
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ルル・オン・ザ・ブリッジ (新潮文庫 オ 9-5) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

オースターの映画シナリオ。映画化に際して彼自身が演出も手がけたらしい。シナリオは初めて読むが、一見したところでは戯曲と似ているようでいて、実は相当に違うものだということがわかった。さて、作品についてだが、なかなかに凝った構成だ。映画の中に、(劇中劇のような形で)映画があり、さらにはそれらをメタテキストが覆うという複雑な構造。映画は未見だが、エンディングの寂寥感はさぞやと想像される。また、作品中にはアルバン・ベルクのオペラ『ルル』をはじめとして、数々の引用があり、それらが解れば楽しみも一層に深いだろう。

2014/04/03

どんぐり

大岡昇平による『ルイズ・ブルックスと「ルル」』が手元にある。無声映画『パンドラの箱』の「ルル」役を演じたルイズ・ブルックスの写真がふんだんに載っているこの本には、映画がトーキーに変わった1929年以降、ルイズの声はトーキーに合わず映画界からニューヨークの百貨店メイシーの売り子になったとある。オースターの本作は、この『パンドラの箱』の「ルル」役を得た女優シリアとサックス奏者イジーの魔法にかかったような寓話性の強い恋愛シナリオ作品。どういうわけかヴェンダース監督の『ベルリン・天使の詩』の映像に重なった。

2013/12/06

キムチ27

この本は脚本だから、小説とは一味異なり、昔の記憶が舞台の仄暗い中から浮き上がってきたような思いに捉われてしまい不可思議な感覚を楽しんだ。P,オースターといえば訳者は柴田、そこに違和感を感じたけれども。映画自体は素人というか理論家過ぎてシーンごとの印象が際立つものの、余り好きじゃなかった。解説によれば、ヴィノシェがするはずの役を演じきったソルヴィノ、私も上手い味を出していたと思う。のっけのシーン「壁一面のポスター、青白く光る石・・そしてファンタジー」は映像で見たか見ないかによりかなり温度差がある作品だと思う

2015/07/24

アセロラ@道東民

大学の授業で読んだ一冊。初めて読んだオースター本。彼自身が監督した映画の脚本。インタビューではオースターの映画愛が伝わってきたし、賢い人なんだなと思った。撃たれたイジーが見た美女や蒼い石は夢なのか現実か。映画も授業で観ましたが、凄く幻想的な世界観でした。

meri

人はみな誰かの代わりであり、"trace"を追い続けているのではないか。そんな悲しみを読後に感じる作品だった。もしもの世界を考えるとき、私はいつも考える。もしも人生の分岐点まで戻れたのならば、この人はわたしを選ぶのだろうか、と。勿論その答えを知るすべはないし、時が経てばこそ、理解できることもあるだろう。だが、家族や恋人、友人。すべてが偶然だと考えれば考えるほど、わたしは意志の力を信じたくなる。偶然さえも変えてやるのだという気になる。この作品は、それを逆説的に暗示しているのだ。

2014/10/26

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