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トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)

作家
ポール・オースター
Paul Auster
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2007-12-21
ISBN
9784102451106
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トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

オースターの自伝的エッセイ集。ここには、まだ作家になる以前の、すなわち無名時代のオースターがいる。彼のコロンビア大学在学時は、反戦の機運が最高潮に盛り上がった時であり、まさにジェームズ・クネンの『イチゴ白書』(映画にもなり、ヒットした)に描かれた時代だった。当時のアメリカは依然として徴兵制を施いいており、オースター自身も抽選の結果しだいではどうなっていたかわからない。もっとも、彼は逮捕されても参戦するつもりはなかったようだが。彼が貧困のうちに過ごしたパリ時代もまた興味深いし、船員時代の思い出も捨てがたい。

2015/01/14

harass

作家の体験や知人たちから聞いた信じられないような偶然の実話についてのエッセイ、だと思っていたが、レビュによると、著者の全く売れなかった修行時代についてのことも書かれていると聞いて手に取る。パリ、ダブリンなどの食うや食わずの生活や、その時代に出会う有名無名人たちの話、『異端の鳥』コジンスキーがでてきて驚く。しかしまあ、この作家の場合、書くという表現することについて、ここまで徹底していることに作家魂を見た。外国人作家のエッセイは実に久しぶりだった。良書。

2018/11/26

nobi

学生の頃に読んでいたら生き方を変えていたかも知れない、と思うほど「その日暮らし―若き日の失敗の記録」はインパクトがあった。学生運動、ベトナム反戦運動が過激化した時代の熱気はあったにせよ、新しい経験を求めて世界の底辺にまで踏み込んでいく、身の破滅と隣合わせのダイナミックな行動。ただどんな状況でも彼は毎日書き続ける。“書く“という核はぶれない。そして浮浪者となる寸前誰かが現れる。それは彼の人徳でも才能でもあった。そして「赤いノートブック」などの話はトゥルー?作り話?いずれにしても泣き笑いの偶然、怖い偶然満載。

2018/11/25

こばまり

一つ所に止まらず、安定には程遠く、世の中にとことん燻されまくれば、斯くも味わい深き作家が出来上がるのかと。小編「あれを読むと、以前僕の母親の身に起きたことを思い出すよ…」には泣かされた。

2021/07/16

キムチ27

オースターの人となりは無論、作品が生まれ出てきた経過が実によく解る素晴らしいエッセー集。、読み易い作品ぞろいのせいもあり、まるで物語の様な感じ。感心するのは若い時から「人や事象を観察する目」の鋭い事・・しかも記憶力が凄過ぎ・・細部までよくまぁ、覚えている。何回も「トゥルーストーリーだ」と繰り返すだけあって、「作家の書くことだから飯の種・・嘘だろう」と周囲に言われるのかなと思った。ラスト(2000年過ぎの項)が味が有り、ブッシュ政権にも触れている。アメリカを心から愛し、人を愛し、社会への慧眼が光る

2019/05/06

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